2022.06.06 高級オーディオのイベントに見る老舗の力沖縄返還の年に創業
登壇した山之内氏(中央)や司会の島氏(左)
巣ごもりで、古いレコードやCDを改めて見直した人も多いようだ。そんな中、高級ブランド「アキュフェーズ」の魅力を体感してもらおうという催しが、都内であった。そこで垣間見えた老舗の強さとは-。
会場は、これも屈指のオーディオショップ、ダイナミックオーディオ5555(フォーファイブ)。秋葉原からほど近くにありファンの多い名店だけに、人数限定の催しは早々と枠が埋まる人気ぶりだった。
アキュフェーズの創業は、1972年6月1日。奇しくも、沖縄の本土復帰と同時期になる。催しには同社から副社長も駆けつけ、「海外のこだわりの高級ブランドにひけをとらない製品をめざし、10人弱のメンバーが図面をひいていた」と、創業間もないころを回顧した。
また、オーディオ評論家の山之内正氏が登壇。アキュフェーズのモノづくりの現場などを詳細に取材した経験も踏まえ、職人のこだわりの作業がふんだんに盛り込まれている様子を紹介した。
基板一つもゆるがせにせず、多くのメーカーならサンプリングで済ませるチェックを全製品で実施。部品も長く保管し、修理にも対応している。そうしたこだわりから、「海外の高級ブランドからも尊敬されている」(山之内氏)と、日本を代表するオーディオメーカーの技術やサービスのレベルを解説した。
同社はまた、いまのように様々な分野でトレーサビリティー(履歴の追跡)が導入されるはるか以前から、部品などさまざまなログを詳細に残しているという。これをもとに、何か不具合があった際には、突き止めて解決することができる。
試聴では、アンプをはじめ同社の製品の力を引き出すデモが様々に展開され、訪れたファンらがその魅力を体感していた。
日本の製造業は汎用品の分野では国際競争で厳しい状況だが、こうしたハイエンドの品、そしてそれを通じてのユーザーとの関係には、勝機があるようだ。
(7日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)