2022.06.06 国定公園に初の地熱発電新設秋田・湯沢に、出光興産やINPEXなど

かたつむり山発電所の予定地での試験の様子

 石油元売り大手の出光興産は6日、石油開発国内最大手のINPEX、三井石油開発の3社で、秋田県湯沢市に地熱発電所「かたつむり山発電所」の建設を決定した、と発表した。出力は1万4990kWで、2027年3月の運転開始を予定。規制緩和で建設できるようになった国定公園内で初めての新設となる。3社は、より環境や景観に配慮し、森林になじむ設計や建設に取り組む方針で、今後のモデルとして全国から注目を浴びそうだ。

 発電所が建設されるのは、宮城県や山形県などの県境にある湯沢市南部の小安地区。2011年から調査に乗り出し、21年には約3カ月にわたって、蒸気や熱水の量など生産力を確認する噴出試験を実施。このデータから安定した噴出量が長期的に見込め、事業化が可能だと判断した。22年6月に着工する。

 建設地は、宮城、岩手、秋田、山形の4県境に広がる栗駒国定公園内に位置する。国が地熱開発を推進するため、12年から段階的に進めてきた規制緩和で、国定公園内などでも開発が可能になった。日本地熱協会などによると、自然公園法で国定公園などが設定される以前に建設された発電所はあるが、規制緩和後に新たに建設されるのは、かたつむり山が初めてになる。

 3社は調査段階から環境への配慮に努めてきたという。実際の建設に際しても、発電所の建屋を目立たないようにドーム状にしたり、建物の高さを13メートル以内に抑えて設計したりして景観に配慮する。予定地にあるブナの天然林も伐採はせずに、スギの植林地に建物を建てる。さらに、建物の表面塗装を森林に隠れるようなデザインを検討しているという。

 出光興産は「優良事例の一つとしてモデルになるよう今後、開発を進めていく」と話している。