2020.01.06 【2020年の業界展望】日本冷凍空調工業会 高木俊幸会長

高木俊幸 会長

五輪で国全体が明るく元気に

 世界経済は、米中貿易摩擦など不透明な情勢の影響により、やや減速傾向となった。わが国経済もこの影響を受けており、今年も引き続き世界動向への関心を高めていかなければならない。

 当工業会は昨年、創立70周年を迎えることができた。今年も「環境問題への適切な対応」「規格・基準への対応」「安全性への取り組み」「規制緩和の推進と新たな技術への対応」「国際活動の推進」などの主要テーマを中心に、業界が直面する課題に引き続き取り組んでいく。

 「環境問題への適切な対応」については、地球温暖化防止のため、気候変動枠組条約締約国会議(COP21)でのパリ協定や、モントリオール議定書締約国会議(MOP28)でのキガリ改正などを受けて進められる、代替フロン規制への対応が急務だ。

 わが国では昨年1月に「改正オゾン層保護法」が施行され、代替フロンの製造および輸入の段階的削減が始まった。さらに、フロン回収が確実に行われるための「改正フロン排出抑制法」が今年4月から施行される。

 特に、29年に設定されている削減目標達成に向けて、今年はいわゆる指定製品に、新たにビル用マルチエアコンと内蔵型ショーケースなどが追加になり、その対応が求められると言われている。

 これら、近い将来の低GWP冷媒への転換に向けて、微燃性および可燃性冷媒への対応など、多くの課題をクリアすると同時に、お客さまにも広く理解してもらうための啓発活動を最重要課題として取り組んでいく。

 「国際活動の推進」では、従来のMOP会議でのサイドイベントの開催、ICARHMAでの世界の工業会との連携に加え、昨年からJEMAの協力を得て、中国家用電気製品協会とも交流を開始している。こうした活動を通じて感じたのは、次世代冷媒の開発や導入に関して、諸外国からの日本の動向に対する注目度が非常に高いということだ。

 今年3月3日から、当工業会主催の展示会「HVAC&R JAPAN2020」を幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催する。41回目となる今回は、「HVAC&Rには未来の答えがある」をメインテーマに、業界の最新・最先端の技術情報を提供していく。国内はもとより、海外にも積極的に発信していく場として活用していただきたい。

 昨年、初の日本開催で熱狂的な盛り上がりを見せたラグビーワールドカップに続き、今年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催される。こうしたイベントにより、我々の業界を含め、国全体が明るく元気になっていくことを期待している。