2022.06.24 【空質商品特集】清潔志向に応える製品開発が活発

 健康・清潔意識の高まりとともに室内の空気質への関心が強まっている。いまだ、新型コロナウイルス感染症拡大は不透明な状況が続き、健康、清潔意識の高まりは持続すると見られる。テレワークの浸透など新しいライフスタイルが浸透する中、在宅時間は増加傾向にあり、室内の空気質にも高い関心が引き続き払われる。空気清浄機や除菌脱臭機、衣類乾燥除湿機など、清潔ニーズに応える商品提案が求められる。

 室内の空気質への関心が高まる中、空気清浄機や除菌脱臭機がこうしたニーズに応える商品として注目される。中でも空気清浄機は、近年パワフルな集じん性能やイオン発生機能、UVやオゾン除菌、加湿機能搭載といった多彩な清潔・快適機能の向上で、高水準の需要が続いていた。

 とりわけ、2020年度はコロナ禍で大きく注目され、想定以上の需要が顕在化し、過去最高の出荷台数(前年比177%の約360万台)を記録することとなった(日本電機工業会=JEMA調べ)。

 ただ、21年度はこの反動もあって、同70.9%の254万1000台にとどまった。前年から落ち込んだものの、250万台程度の需要は大きく、コロナ禍以前では200万台程度が通常だったことから、平年ベースよりは高い出荷水準を保っているといえる。22年度も引き続き200万台以上の水準が見込まれている。

 空気清浄機で近年主流となっているのは、加湿機能を搭載した複合モデルで、中には除湿機能まで一体となった高付加価値モデルもある。

 加湿空気清浄機の場合、花粉・ハウスダスト除去に加え、最適な加湿による冬場のウイルス対策にも効果を発揮でき、年中清潔・快適な空間づくりに貢献し、年間通して商品提案が可能だ。

 また、イオン発生機能により、浮遊菌・ウイルスの抑制効果を発揮したり、本体に取り込んだ空気に含まれる有害物質や、菌などを深紫外線や強力な放電で抑えるといった除菌技術も進化しており、メーカー各社では清潔志向に応える製品開発が活発となっている。

パナソニックの主力製品

 パナソニックは、室内空気質(IAQ)向上に寄与する充実した商品陣容により、新しい生活様式の浸透で高まる健康・清潔・快適ニーズに応える。

「ジアイーノ」に加湿機能搭載

次亜塩素酸 空間除菌脱臭機「ジアイーノ」F-MV4300

 除菌・脱臭に効果を発揮する次亜塩素酸 空間除菌脱臭機「ジアイーノ」では、昨年秋からジアイーノとして初めて加湿機能を搭載したF-MV4300(18畳タイプ)/同MV2300(12畳タイプ)2機種をラインアップに加え、より清潔・快適な室内空間づくりに貢献する。

 料理や生ごみの臭いなど、気になる生活臭を次亜塩素酸で素早く分解脱臭する。これにより、臭いが布製品に染みつくことも抑える。フィルター通風面積を拡大し、ペット臭の脱臭スピードは同社従来品比で約16%アップしている。

 新搭載の加湿機能では、新開発の風路切り替え機構により、フィルターへの送風量を増やしたことで、除菌脱臭しながら季節に応じて加湿量を選べる。

加湿空清機など製品充実

 このほか、空気清浄機では、「ナノイー」比100倍の量のOHラジカル(毎秒48兆個)を生成する新「ナノイーX」を搭載し、花粉を99%抑制する時間が同社従来品比4分1(約6畳空間でスギ花粉を99%抑制にする時間は従来の約12時間から約3時間に短縮)になった加湿空気清浄機プレミアムモデルF-VXU90を提案する。「3Dフロー花粉撃退気流」と合わせた独自の花粉撃退テクノロジーで、花粉を徹底除去する。

 独自のハイブリッド方式、新ナノイーX搭載の衣類乾燥除湿機新製品の提案にも力を入れる。F-YHVX200(定格除湿能力=15リットル/日.50ヘルツ)、同YHVX120(同9.0リットル/日)はツインルーバーを搭載し、詰めて干した洗濯物でもスピーディーに乾かす。F-YHVX90(同6.0リットル/日.50ヘルツ)は洗濯物の真下にも設置でき、省スペースで衣類乾燥を実現する。

クリエイティブテクノロジーの主力製品

電気集塵式空気清浄機「セレナイト」

小型で高い静音性、新モデルも年内に発売

筐体に駿河竹千筋細工を取り入れた「セレナイト」の新モデル

 クリエイティブテクノロジー(川崎市高津区)は、独自の空気清浄機構を搭載した小型の電気集じん式空気清浄機「Serenite(セレナイト)」について、高い静音性はそのままに外観をブラッシュアップした新モデルの年内発売に向け、準備を進めている。

 独自の空気清浄機構「G-NIES(Generation of Negative ion Electro-Static)air purifier ユニット」は、2段式電気集じん機構造を超小型にまとめたもの。放電による集じん能力の低下やオゾンの発生を防ぎ、高い集じん機能と小型化を実現した。

 筐体(きょうたい)は20×20×20センチメートルの大きさで、卓上型。運転音はわずか16デシベルと高い静音性を備える。オフィスのパーソナル空間や、テレワーク中のWeb会議でも運転音を気にせず使用できる。

 外部試験では、ファンにより10立方メートル/秒の風がある8畳の空間で駆動した場合、90分で大腸菌ファージウイルスを96.7%、花粉を97.7%減少させる。

 さらに、同様の環境下でHEPAフィルターと併用した場合、同ウイルスを22.5分で99%、花粉を20分で99%減少させる効果を確認したという。

 セレナイトの新モデルは、筐体に駿河竹千筋細工を取り入れる。わずか径1.1ミリメートルの竹ひごを組み合わせた筐体は、製品のコンセプト「静けさ」を体現。日本の伝統工芸を応援する思いも込める。

 価格は5万円前後となる見込みで、年内の発売を目指す。9月にドイツで開催される国際家電見本市「IFA」にも出品し、日本発の技術と伝統工芸を世界にアピールする方針だ。