2022.09.26 【九州・山口産業特集】九州・山口で活躍する企業・団体の事業戦略 YEデジタル
叢 本部長
スマートバス停、事業者の働き方改革へ
利便性向上しまちづくりにも貢献
YEデジタル(北九州市小倉北区、玉井裕治社長)は、西鉄エム・テック(福岡市中央区)と共同で「スマートバス停」を提供する。バス利用者の利便性向上とともに、事業者の働き方改革も実現している。
スマートバス停はデジタルサイネージに時刻表や路線図を掲載し、同社のクラウドサービス「MMsmartBusStop」を通じて遠隔で更新、表示する。現在時刻に近い時間帯の時刻表を拡大表示したり、リアルタイムの情報を提供したりできる。
市街地や郊外など設置場所に応じて選べる4機種をラインアップ。太陽光パネルと二次電池を組み合わせたタイプや、一次電池を使えるタイプもそろえ、電源のない場所にも対応する。
商用電源を使える場所に設置するモデルでは広告を配信することもでき、その収益で維持管理費をまかなうケースもある。
今春には設置数が100基を突破。今年度中にも150基を超える見通しだ。8月現在、全国の23事業者に導入されている。
「スマートバス停は従来のバス接近情報付きバス停よりも先の『Bus Stop3・0』ともいえるものだ」と叢偉(そう・い)マーケティング本部長は話す。
到着案内や遅延情報といった利用者の利便性向上だけでなく、ダイヤ改正前日に手作業で行われていた全バス停での時刻表の張り替え作業がなくなることから、働き方改革も実現。バス事業者の業務効率の改善や人件費などの削減にもつながっている。
GTFS-JP(標準的なバス情報フォーマット)に対応しており、CSVファイルを登録するだけで、時刻表の作成も不要。複数の事業者が乗り入れる場所ではデータを統合して一度に表示することもできることから、バラバラだったバス停を一つにまとめられたケースもある。
航空便といった他の交通機関の情報を掲載すれば、乗り継ぎの効率化や交通結節機能の強化も図れる。MaaS連携により、便利で快適なまちづくりに貢献する。
「日本の交通機関ならではの良さはあるが、それを支える人材の不足が課題。デジタル技術を生かし、持続可能な交通網の発展をお手伝いできれば」と叢本部長は語った。