2022.09.26 【九州・山口産業特集】九州・山口で活躍する企業・団体の事業戦略  i-PRO

塚原 事業部長

AIスターターキットAIスターターキット

モジュールカメラのカスタマイズが可能

IoT化、多様なニーズ対応

i-PROは、光学部品などさまざまなパーツを自由に組み合わせて使用できるモジュールカメラの開発を進めている。幅広い分野で映像処理AI(人工知能)の活用が進む中、用途ごとに焦点距離や画角などを細かく選択できるようにして多様化する需要に応える。

 これまでセキュリティーや医療分野でセンシングソリューションを提供してきた同社は、4月にモジュールカメラ事業部を新設。「BTOカメラでAIの未来を拓く」をビジョンとしており、BTOパソコンのように顧客がカスタマイズすることで、要望に合致したカメラを提供する。

 背景にはIoT化の推進に伴うニーズの多様化がある。検査装置から照明器具まで幅広い機器にエッジAI搭載カメラが組み込まれるようになり、必要な機能や画角も細分化。顧客の要望も多様化している。

 これに対し同社は、開発スピードを加速させ、製品バリエーションを増やすため「モジュール設計」を導入。光学、SoC、インターフェースなど機能ごとにモジュールを開発することで、費用対効果を高めた。

 モジュールを単品で購入することもできる。1度に大量に発注する必要がなく、在庫を抱える心配がない点も特長だ。注文から3日までに出荷できる対応の早さも強みとしている。

 2023年度までに、1500通りの組み合わせを提供できるようにする方針を示した。セキュリティーと医療分野の両方に携わった経験がある塚原伸一事業部長は「多くの選択肢を用意し、リーズナブルに提供したい」と話した。

 モジュールカメラの有用性を訴求するため、自身で開発したAIを自由に試すことができるキット「AIスターターキット」と「レンズトライアルキット」も用意。6月の「日本ものづくりワールド」(東京ビッグサイト)で展示し、大きな反響を呼んだ。

 現在はAmazonで販売しており、今後はホームページやカタログなどでも購入できるようにする。

 同社は10月1日に、福岡市博多区にある本社を、東京都港区の新拠点に移す予定。同時に福岡事業所(福岡市東区)も稼働し、これまで以上に部署間の連携を深めていく考えだ。