2022.09.26 【九州・山口産業特集】九州・山口で活躍する企業・団体の事業戦略 九州テン
前田 社長
IoTゲートウエイ新製品に力
Linux/RTOS マルチOS注目
九州テン(福岡市博多区)では、6月に前田一郎氏が社長に就任した。12月には創業55年を迎える今年は、IoTゲートウエイの新製品「QRIoTX(キュリオットテン)」にも力を入れ、さらなる発展を目指していく。
「受け身ではなく、次の一手を着想できる会社へと成長させたい」。前田社長はこう力を込める。2021年からの中期計画の最終年度となる今年は、目標としていた営業利益5億円達成に向けて取り組んでいる。
受託製造とソフトウエア開発を中心に手掛ける同社では、昨今のDX化の進展に伴い、システムソリューション事業が堅調に推移。製造部門では、部材不足などの影響で一昨年からは厳しい状況が続いていたが、原価低減などに取り組んだことで今年の同社全体の売り上げは前年比115%を見込む。
自社製品も好調だ。同社が開発した医療機関向けソリューション「ACE.MediStation」は、全国50の医療機関への納入実績があり、販売が伸長。今年は新たに「ヘルスケアビジネス部」を設けるなど、さらなる増販への取り組みを加速させる。
今年発売の新製品QRIoTXは、LinuxとRTOSのマルチOSに対応したIoTゲートウエイだ。
消費電力の削減にもつながるほか、互いのOSを監視することでシステムの信頼性保持を実現。エッジ機能を実装でき、収集した情報から必要なデータのみをクラウドに送信するため、通信コスト削減にも貢献する。
「マルチOSへの関心が高く、引き合いも多い。当社のヒット商品にできれば」(前田社長)とし、引き続き注力していく。
創業55年を迎える12月には、福岡市で社内向けの記念式典も予定している。
前田社長は「社員一人一人の思いが前向きかどうかで会社の活力は変わる。社員やその家族の誇りになる会社にする」と語り、今後はブランド力強化や人事制度の改革などにも取り組むとしている。
工場の稼働率向上のほか、ソフトのエンジニアといった人材育成にも力を入れ、開発体制を強化する考えを示した。