2022.09.28 【関西エレクトロニクス産業特集】モビリティー 〝空飛ぶクルマ〟など新移動スタイルの準備進む

SkyDriveから発表されたSD-05型

ジェイコムウエストはライドシェアサービスで商用化を見据えるジェイコムウエストはライドシェアサービスで商用化を見据える

 大阪・関西万博の開催に向けて、空飛ぶクルマの社会実装や高齢者社会に向けての新たな移動手段の構築など、新たな移動スタイルへの準備が関西で進んでいる。関西でのモビリティーに関する新たな取り組みや開発は年々進んでおり、実証実験や社会実装に向けた動きが強まっている。

 空飛ぶクルマを開発するSkyDriveは26日、2025年の大阪・関西万博開催時に、大阪ベイエリアでのエアタクシーサービス開始を目指し、現在、設計開発中の「空飛ぶクルマ」の商用機「SD-05型」のデザインと三菱UFJ銀行をはじめとした13社を引受先とした第三者割当増資および銀行融資において総額96億円の資金調達を実施したと発表した。デザインのコンセプトは「スマート」「スモール」「クール」。調達した資金は開発する人員への投資や開発インフラに投資する。

 新型の05型は2人乗りで旧機種の1人乗りから搭乗人員を増やした。運用後続距離は5~10キロメートルを想定。騒音や重量はヘリコプターの3分の1程度となる予定。

 資金調達はSCSK、関西電力、近鉄グループホールディングス、スズキ、損害保険ジャパンなど13社。主に開発する人員への投資や開発インフラへの投資を推進する。

 当日は発表会などを実施。同社と空飛ぶクルマの実現に向けた連携協定を締結している大阪府の吉村洋文大阪府知事、大阪市の松井一郎大阪市長も会に出席した。吉村知事は「25年の大阪・関西万博に空飛ぶクルマが舞うことが近づいていると感じる。熱量を持って世界に発信してほしい」と激励。松井市長も「万博も含めて手軽に乗れるようになることに期待したい」と語った。

 同社の福澤知浩CEOは「大阪城と新大阪を数分で移動できるようになる。現在150人のスタッフが25年に向けて開発を進めている。30年の自動運転も見据えて開発を進めていきたい」と語った。

 ジェイコムウエストは、営業スタッフ複数人が相乗りできる大型車両(専属ドライバーが運転)を導入し、営業活動の送迎サポートを行うライドシェアサービスの実証実験を進めている。関西で免許の返納が増え、地域の足が失われていく状況が深刻な社会問題になっている状況下、今回の実証実験を経て生活圏の日常の移動を便利にするサービスの提供につなげる。

 関西管内では、大阪府堺市・和泉市などでスタートしており、現在では北大阪などのエリアでも実証実験を進めている。今後は、さらに対象エリアを順次拡大する予定。

 ライドシェアサービス導入による効果は営業車両の削減・CO₂排出抑制。北大阪局管内では28台分の社用車の削減に成功した。

 利用者からは「苦手な運転を必要とすることなく、営業面に集中できる」「車の中で作業ができ、効率的に仕事を進めることができた」と反応は上々。今後は、商用化に向けたライドシェアサービスの有用性と発展性を検証する。