2022.09.29 【部品メーカー・商社ASEAN特集】ウエムラ・インターナショナル・シンガポール(上村工業)、ASEANでの地産地消体制強化

寺岡 MD

 上村工業は、ASEANでの地産地消体制を強化し、ASEANの顧客ニーズに迅速に対応する。

 マレーシアの生産会社ウエムラ・マレーシア(UM)でハードディスク用、プリント配線板用無電解ニッケルめっきプロセス液などの表面処理薬品の生産を増強。ハードディスク用無電解ニッケルめっき液の新規顧客向け供給を10月から始め、UMのハードディスク用売上高に大きく貢献、2023年度にはさらに大幅な増加を見込んでいる。ASEANの日系、外資のプリント配線板、半導体パッケージ基板、モジュールなどのメーカー需要増にも応える。

 マレーシアでは、めっきプロセス液や、めっき装置・液管理装置などの技術サポート体制の整備を進めている。UMにクリーンブースの設置を検討し、表面処理薬品の自動充塡(じゅうてん)をはじめ、一層の生産性向上を目指している。マレーシア・ペナンへの進出が相次ぐ欧米系半導体メーカー、電子部品メーカーの需要を見込んでいる。

 また、日本や台湾などからウエムラ・インターナショナル・シンガポール(UIS)経由でタイの車載や事務機器、スマートフォンなどのプリント配線板用などに供給しているめっき薬品などをタイの100%子会社サムハイテックスへの移管を加速する。年内にUIS経由タイ販売分の半分をサムハイテックスに移管する予定。市場開拓を進めているインドのコネクタ端子のスズめっき液や、パキスタンの無電解ニッケル金めっき薬品の販売もさらに増やす。

 UMも見ているUISの寺岡忠儀マネージングディレクター(MD)は「前年のコロナ禍の反動もあって1月から5月までプリント配線板、半導体パッケージ基板向けめっき薬品、めっき用装置などの需要は好調だった。6月からは自動車などの需要減速や、お客さまでの作業者不足の影響などで今年前半に比べると需要は落ちているが、前年は上回っている。10月以降も今の状況が続くとみている。UISの22年度通期売上高は、21年度実績を上回ることはできるだろう。お客さまの地産地消ニーズに応え、成長するASEAN市場をしっかりつかんでいきたい」と話す。