2022.09.29 【電子部品メーカー・商社ASEAN特集】菱商(タイ)(菱電商事) 半導体・デバイスなど主力に拡大

坂口 MD

 菱電商事は、三菱電機のFA・冷熱・ビル・半導体の総合代理店を事業基盤に、ICT技術を融合した幅広い事業領域でグローバルな事業を展開している。

 海外は主に日系製造業などの顧客を対象に東アジア、ASEAN、北米、メキシコ、欧州の合計19拠点を設けている。

 ASEANは、同地域で事業展開する主に日系製造業などの顧客に対して半導体・デバイスを中心とした菱商テクノシンガポール、半導体・デバイス、FA、冷熱を主力とする菱商(タイ)、ホームエレベーターおよび昇降機が主体の菱商ベトナム(ホーチミン)の3現地販社を設けている。

 菱商(タイ)は、バンコクに本社を置いている。また、グループ子会社の菱商エンジニアリング(タイ)が同販売会社のオフィスに入っている。

 タイは、年間の自動車生産台数がコロナ前の200万台から2022年は170万~180万台が見込まれ、GDPは20年のマイナス6.1%から22年は3.1~3.2%が予想され、不動産や観光産業もコロナ前に戻りつつあるなど、コロナ禍からの回復が鮮明になっている。

 菱商(タイ)の責任者である坂口太郎マネージングディレクター(MD)は「半導体・デバイス事業は、一部の顧客で在庫調整の動きがあるが、家電メーカー向けなど全体的には堅調に推移している。FA事業は製造業の新規よりも更新や自動化の投資が活発になっている。冷熱事業はコロナで落ち込んでいた不動産案件が徐々に戻ってきた。年内は現状の水準を維持するとみている」と直近の市況感を語る。

 半導体・デバイスでは、FTA(経済連携協定)を活用して、中国製品のタイ国内での販売も始めようとしている。

 FAでは菱商エンジニアリング(タイ)や、そのパートナー企業と連携して、システム機器の販売に注力する。AGV(無人搬送車)の販売やスマートファクトリーを指向した生産ラインの「見える化」などのシステムソリューションの提案に注力している。

 「タイプラスワン」の動きに対応して、ASEAN3拠点の連携を強化するため、情報共有として定期的なミーティングもスタートした。

 また、各企業が人材の現地化を進めており、同社もマネジメントクラスの現地人材の育成に取り組んでいる。