2022.10.05 【ルームエアコン特集】22年度も力強い需要続く、冬に向けて暖房ニーズも重視

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盛り上がりが続くエアコン市場盛り上がりが続くエアコン市場

量販店の展示にも工夫がみられる量販店の展示にも工夫がみられる

 今年の夏は、円安や部品不足、材料高騰など、製品の製造面においていくつもの問題を抱えていた。それでも、全国的に6~8月の平均気温が高く、エアコン商戦の追い風となった。

 日本冷凍空調工業会(JRAIA)によると、エアコンの8月の出荷金額は前年同月比36.2%増の645億円、出荷台数は21.0%増の76万9000台だった。2017年度以降、毎年900万台を上回る出荷が続くエアコン市場。20年度には出荷台数が1000万台を突破して過去最高を記録し、21年度も高水準で推移した。22年度も力強い需要が続いている。

 夏商戦では、物価の高騰による消費者の買い控えが懸念される中、電気代の値上がりから省エネに注目が集まり、各メーカーが対応に当たった。コロナ禍で高まった清潔や換気に関する機能に加えて、冬に向けて基本性能の暖房ニーズも重視され、ユーザーに寄り添った製品が発売されている。

 「最上位機種の魅力に感じる機能」をテーマにしたパナソニックの調査(21年6~7月実施)では、内部にカビが発生しにくく清潔な空気を吐き出すこと、温度ムラをなくして部屋中を快適にすること、運転開始後すぐに暖かくなることが上位に並ぶ。

 パナソニックは、運転を開始してから快適な空間になるまでのスピードにこだわった機能を開発。エアコンの新製品「エオリア」LXシリーズは、快適を素早くつくり、継続させるエネチャージ「極上冷暖房」が進化し、快適性が向上した。

 暖房を使用する時間帯を朝昼晩と曜日ごとに「エオリアAI」が学習。その時間に合わせて予熱運転を実施することで、運転開始後に素早く温風が吹き出す「すぐでる暖房(AIチャージ)」を搭載。素早く足元から暖めて霜取り中も暖房が停止しない。

 富士通ゼネラルは、エアコンの高機能化と合わせて、取扱説明書にもこだわっている。同社のエアコン「ノクリア」Zシリーズの取扱説明書が「ジャパンマニュアルアワード2022」で「審査委員特別賞(作り手の願いが伝わるで賞)」を受賞した。

 Zシリーズは、スマートフォンなどとの連携操作や人工知能(AI)による自動運転機能を搭載した高機能モデルとなる。同社は、製品の高性能・多機能化とともに高まる説明内容の難しさを低減し、ユーザーが「手に取って読みたくなる」取扱説明書を目指した。

 同社の取扱説明書製作部門は、コールセンターと連携して、日々寄せられるユーザーの声を参考に制作。アプリとの接続やリモコンの電池交換に関する問い合わせが多いため、その部分に関する説明をより手厚くした。説明内容の充実だけでなく、柔らかな印象を与えるイラストや、エアコンの上手な使い方に関する豆知識などをちりばめて、ユーザーが読みたくなるような取扱説明書にした。

 ダイキン工業は、電車内広告やテレビCM、自社ホームページなどを通して、事業や製品の広報だけでなく、よりよい製品の使い方などエンドユーザーに向けて積極的な情報の発信を続けている。

 毎月1回のペースで、同社のさまざまな取り組みを紹介する電車内広告のドア上ポスター。現在は、世界150カ国に展開するグローバル企業の特徴を生かした内容の広告を展開する。インド特有の事情に寄り添いながら、09年に現地工場を設立して以来、最先端の空調技術で地球環境にも配慮した省エネ性能が高いインバーターエアコンのインドでの普及を推進していることを伝えている。

 家電量販店では、室内機だけでなく、室外機も合わせて展示する店舗が増えている。室外機の設置場所や方法を確認する必要があり、スムーズな接客を行うため、役立たせている。メーカーと店舗がそれぞれ工夫することで、エアコン市場を盛り上げていく。