自らの人生を投影した前作「ペイン・アンド・グローリー」で知られる、スペインのペドロ・アルモドバル監督の最新作。

　フォトグラファーのジャニス（ペネロペ・クルス）と17歳のアナ（ミレナ・スミット）は、出産を控えて入院した病院で出会う。予想外の妊娠だった2人は、それぞれシングルマザーになることを決意していた。その後、同じ日に女の子を出産した2人は、再会を誓い合って退院する。

　ジャニスはセシリアと名付けた娘と対面した元恋人から「自分の子どもとは思えない」と告げられる。ジャニスは悩みながらも、DNAテストを行い、セシリアが実の子ではないことが判明する。アナの娘と取り違えられたのではないかと疑ったジャニスだったが、この秘密を封印し、アナとの連絡を絶つことを選んだ。それから1年、アナと偶然に再会したジャニスは、アナの娘が亡くなったことを知らされる──。

　子どもの死や子どもの取り違えという、ショッキングな出来事に直面し葛藤するジャニスの心情に心苦しくなるが、どこか凛（りん）とした母親ならではの強さも感じる。

　11月3日からヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、新宿シネマカリテほかで公開。