2022.11.09 Wi-Fi装置で通園バスの置き去りを検知 村田製作所が福岡市で実証実験公開

車内に設置するWi-Fi装置

 相次ぐ通園バスでの幼児置き去り事故を防ごうと、村田製作所は11月からWi-Fi装置を使って車内の幼児を検知する実証実験を開始。8日、福岡市博多区の那珂幼稚園で実験を報道陣に公開した。

 発信機から受信機まで、複数経路を伝って飛ぶWi-Fi電波の性質を生かしたもので、車内にいる幼児の細かな動きや呼吸を検出する。ひざ掛けを被っている場合などカメラや超音波では確認できない状態でも検知できるという。

 実験では、同園の園児1人がバスに乗り込むと、車内のWi-Fi装置が検知。車外に設置したモニターに、車内に人がいることを示す赤色のバーが表示され、園児が隠れ、外から見えない状態になっても赤色の表示が続いた。

 実証実験ではバス車内での検知精度を確かめた上で、効果的な通知やアラートの方法を検討していく。

 同社はこれまで乗用車向けにWi-Fiセンシングによる置き去り検知システムの開発に取り組んできたが、昨年7月に福岡県中間市で、今年9月には静岡県牧之原市でも置き去りによる幼児死亡事故が起きたことを受け、通園バスへの応用に着手した。

 今年10月に福岡市の「実証実験フルサポート事業」に採択され、同市での実証開始に至った。同社担当者は「実証実験を通じて、通園バスでの悲しい事故を一件でも減らしていきたい」と話した。

 実証は来年3月まで行う予定で、同年4月からの通園バスへの安全装置の設置義務化に間に合わせたいとしている。

(電波新聞には後日掲載予定)