2022.11.09 エディオンとノジマが増収・営業増益 ヤマダは下期に反転攻勢へ 家電量販店4~9月連結決算

DX化で新しい買い物体験を提案する(写真=テックライフセレクト仙台あすと長町店)

 上場する大手家電量販店5社の2023年3月期第2四半期(22年4~9月)連結決算が出そろい、エディオンとノジマの2社が増収営業増益となった。上海ロックダウンによる商品供給の乱れや、エネルギー価格の高騰により店舗の光熱費増加なども利益を押し下げた。半面、ウィズコロナにおける“攻め"の事業戦略や店舗開発も各社で表面化。下期からは反転攻勢の動きが活発化しそうだ。

 上期は、コロナ特需やオリンピック需要の反動によるテレビや調理家電などの伸び悩みに加え、付加価値の高いドラム式洗濯乾燥機などにロックダウンの影響が直撃。また、6月末に連日の猛暑が続き、エアコン販売が加速して夏本番への期待が高まったが、7月以降は気温が低下し需要の最盛期でエアコンが伸びきらなかった。

 そんな中、下期からの反転攻勢を見据えるのがヤマダホールディングス(HD)だ。3日には、約1万5000平方メートルの売り場規模を持つ大型店「テックライフセレクト仙台あすと長町店」(仙台市太白区)をオープン。セミセルフレジを実現するスマートカートの導入など、DX化を推し進めたライフセレクトの進化版で、ライフセレクトを軸にした暮らし丸ごと戦略の成果が下期に出てくると見ており、「市場を取っていく」(山田昇会長兼社長CEO)と意気込む。

 ケーズHDは、既存店と新規出店を合わせて売り上げを稼ぎ、通期では増収を目指していく。エディオンは、EC(電子商取引)を強化しており、23年春にはECサイトのリニューアルを予定するなどEC戦略を加速。上新電機は、旗艦店である日本橋店(大阪市浪速区)を3日にオープンし、下期に入って攻勢を強めている。

 ノジマは、厳しい市場環境でも家電店運営事業の経常利益を前年から3割伸ばすなど好調を持続。通期業績見通しも「経常利益とEBITDAは過去最高を目指す」(野島亮司副社長)とする。

 今後は、変化する需要や生活スタイルに合わせた店舗開発がさらに重要になる。スマートフォンが浸透した現在、テクノロジーを活用したリアル店舗の新たな価値提案が、「選ばれる量販店」の基準の一つになりそうだ。

(10日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)