2022.11.16 【この一本】 「ある男」(配給:松竹)

©2022「ある男」製作委員会

 弁護士の城戸(妻夫木聡)は、かつての依頼者・里枝(安藤サクラ)から、里枝の亡くなった夫「大祐」(窪田正孝)の身元調査という奇妙な相談を受ける。里枝は離婚を経て、子どもを連れて故郷に戻り、出会った「大祐」と再婚。新たに生まれた子どもと4人で幸せな家庭を築いていた。

 ある日、「大祐」が不慮の事故で命を落としてしまう。悲しみに暮れる中、長年疎遠になっていた大祐の兄・恭一(眞島秀和)が法要に訪れ、遺影を見ると「大祐じゃない」と衝撃の事実を告げる。愛したはずの夫「大祐」は、名前も分からない全くの別人だった…。

 「ある男」の正体を追い“真実"に近づくにつれ、いつしか城戸の中に別人として生きた男への複雑な思いが生まれていく――。

 人を作るのは、現在なのか、血筋や生まれた環境なのか…簡単に答えが出ない問題が、エンターテインメント作品として作り上げられている。俳優たちの演技も自然で体温を感じるリアリティがある。

 原作は芥川賞作家・平野啓一郎による同名小説。監督は「愚行録」(2017年)や「蜜蜂と遠雷」(19年)で知られる石川慶。

 18日から全国ロードショー。