2022.11.25 【はんだ総合特集】千住金属工業 脱炭素化実現に貢献へ フローソルダリング工法 低融点はんだで開発

低温はんだ付け材料群

 千住金属工業は、脱炭素化の関心が高まる中で、はんだ付け事業の観点からカーボンニュートラル実現に貢献するべく、低融点はんだを使用したフローソルダリング工法と関連製品を開発し、実装業界に広く提案している。

 はんだの融点が低いことは、はんだ槽の省電力化のみならず、実装工程の効率化などソルダリングのさまざまなプロセスにおいて好影響を及ぼし、その結果がカーボンニュートラルにつながる。

 同社は用途に合わせた高信頼性はんだ付け材料を豊富に品ぞろえし、はんだ付け装置もフロー、リフロー装置共に生産し、はんだ槽は噴流式、静止槽(DIP方式)をそろえる。

 低温はんだは、Sn(スズ)-Bi(ビスマス)系棒はんだ「L20」(溶融温度139~141度)をはじめSn-Bi-Sb(アンチモン)-Ni(ニッケル)系「L29」(同140~145度)、Sn-Bi系やに入りはんだ「LEO」(同139~141度)を市場に投入している。

 はんだ槽はSn-Bi系低融点はんだで発生しやすいドロスを低減し、基板に付着するドロス量を少なくする新たな噴流ノズルを開発した。その際のフラックスは、Sn-Ag(銀)-Cu(銅)系合金で使用してきた従来のフラックスで対応でき、低温フローソルダリング専用フラックスも用意する。

 大量に発生するドロスを、フロー装置内で再利用する技術も開発し、コストも抑えられる。

 低融点はんだを使用したフローソルダリング工法は白物家電を中心に引き合いが増えている。

 リフロー装置は2010年から販売し、大幅に省エネ性と生産性を向上したSNR-GTのさらに上位機種である「環境調和型リフロー炉」に位置付けられるSNR-GTⅡを新たに市場投入した。

 SNR-GTⅡはリフロー炉内雰囲気の循環効率を向上させ、断熱構造の強化で消費電力量をSNR-GT比約10%削減した。

 窒素使用量も装置の入り口と出口部分にラビリンスゾーンを設け、窒素カーテン機構を加えて炉内の窒素雰囲気流出を抑制し、さらに循環効率を向上させSNR-GT比で半減した。