2022.11.25 【はんだ総合特集】日本スペリア社 低融点はんだ提案に力 環境負荷低減に貢献の製品も

注目を集めている低融点はんだ「TempSave」シリーズ

 日本スペリア社は、低融点はんだ「TempSave」シリーズなどの提案に力を入れている。また、SDGs活動を含めた環境負荷低減に貢献するはんだ「SN100C/SN100CV」にも注力している。

 電子製品の小型化、薄型、高性能化に伴い、耐熱温度の低い部品が搭載されるケースが増えている。こうした傾向は、はんだ材料にとっても無関係ではなく、従来の鉛フリーはんだよりも低い温度で実装が行える「低融点はんだ」の開発が急務とされてきた。

 この状況下、同社は低温で実装できるSn-Bi系低融点はんだTempSaveシリーズを開発、発売した。最近では大手家電メーカーに採用され、動きが広がりつつあるという。

 TempSaveシリーズにはSn-Bi系低融点はんだの課題とされてきた「耐衝撃性」を大幅に高めたタイプ「B37」がラインアップされている。この合金は耐衝撃性に加えて、ボイド低減、ハロゲンフリー、ディップに対応していることも大きな特徴だ。

 融点は139~174度で、200度以下での低温実装が可能。組成の改良により、低温ではんだ付けができ、かつ耐衝撃性に優れている。実装温度が下がるため、はんだの実装エネルギー(実装時の設備電力)を約3割減少することができるという。

 一方、SN100C/SN100CVは地球環境や人体に悪影響を与える、鉛を含まない鉛フリーはんだ。合金はともにAg(銀)も含んでいない。はんだを含む電子基板が地中廃棄されると、基板に含まれるはんだから鉛が溶け出し、最終的に人間を含む生物に悪影響を及ぼす可能性がある。

 その理由から鉛の含有が規制されるようになったが、銀にも同じような影響があり、自然界の生物に悪影響を与えるという見方もある。こうした懸念に配慮し、銀を含まないはんだ製品を推奨している。

 そのほか、今注目の「脱プラ」製品「ボビンレスはんだ」にも注力。はんだを巻き付けるプラスチック製のボビン(芯)を排した「無芯形状」の線はんだ。使用後にボビンが残らないため、環境性に優れ、経済性も高く(廃棄物の処理費用が不要)、使いやすい(さまざまな使い方に対応)製品になっている。