2022.11.30 独インフィニオン日本法人が新オフィス公開 「ブランド力を発信」
受付で来訪者に対応するロボット。ペットボトルのお茶をふるまう
独半導体大手のインフィニオンテクノロジーズは、世界的なパワー半導体の需要を受け好調な業績を見せている。
日本法人は11月30日、本社(東京都渋谷区)でメディア説明会を開催。川崎郁也社長は「インフィニオンはパワー半導体のリーダー。シリコン、SiC(炭化ケイ素)、Gan(窒化ガリウム)のいずれにも投資を続け、市場をリードしていく」と述べた。
インフィニオンの2022年度(21年10月~22年9月)決算は車載向けやパワー半導体、マイコンなどの旺盛な需要を受け、売上高は前年度比29%増の142億1800万ユーロ(約2兆616億円)で過去最高を記録した。
日本はグローバルの売上高の1割を占める重要市場。電気自動車(EV)のインバーターや車載充電器向け需要が伸長している。EV向けにSiCや、IGBTとダイオードを一つにした「RC-IGBT」の採用も始まっている。
SiCは産業用途でも引き合いが増え、Wi-Fiなどの民生機器でも採用が拡大。川崎社長は「日本でも来年度は高い成長を見込む」と意気込む。
国内市場での「信頼されるパートナー」を目指し、日本法人が取り組むのはエンジニアリング機能の強化だ。
8月に日本本社の拠点を渋谷区の同地に移転。従業員約650人のうち半数以上がエンジニアで、技術や品質面でのサポート体制を充実させた。
社内にADAS(先進運転支援システム)の技術開発のため、専用の電波暗室を設置。解析ラボなどで製品の出荷前試験や返品された製品の不良解析を行う。
新オフィスはスマート化も図った。床面にはサイネージプロジェクターで製品情報などを投影。受付にはサービスロボットが来訪者を出迎え、ペットボトルのお茶を提供する。
フロアの天井には全26個のセンサーを配置し、室内の温湿度やCO₂濃度をリアルタイムで把握できる。
大学やスタートアップとの連携も進める中、日本市場でのさらなる浸透に向け、本社を「ブランド力の発信拠点」にしたい考えだ。
(2日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)