2022.12.06 【この一冊】「日本の技術力をもつ半導体メーカーに外資系スピード感を取り入れたら働きがいのある会社に生まれ変わった」石合信正著(幻冬舎)

 ミネベアミツミグループのエイブリック社長で、グループの半導体部門長(ミネベアミツミ専務執行役員)も兼任する著者。内外で要職を歴任してきた経験を踏まえ、技術力や協調性に優れた日本企業の強みと、評価基準や法令順守など外資系の特長を融合し「やりがいと働きやすさを高める」ことを目指す取り組みを詳述している。

 石合氏は住友重機械工業からバイエル、日本ゼネラル・エレクトリック、インベンシス、アリスタ ライフサイエンス、キャボットジャパン社長などを経て、2016年にエスアイアイ・セミコンダクタに入社し、社長に就任。同社がエイブリックに社名変更し、20年にミネベアミツミグループと経営統合。現在に至っている。

 働きがいとは、やりたい仕事に挑戦できる「やりがい」と、快適な環境で働ける「働きやすさ」が備わることと指摘。その上で日本企業では、「やりたい仕事に挑戦するチャンスや裁量が乏しい」「評価があいまい・不公平で、努力への見返りがない」「法令や従業員の安全を守る意識が弱い」などの理由から、働きがいを感じる人は多くないとみる。ただ、高い技術力や従業員同士の協調性など数々の長所もある。

 一方、外資系には、個人に大きな裁量を与えてやりがいを感じさせたり、明確な評価基準で成果に応じたり、コンプライアンスを守り働きやすい職場を提供したりしている企業がいくつもある。

 外資系企業5社で要職を歴任した石合氏は、これら「いいところ」を融合させ、「働きがいのある会社」をつくれると提起。エイブリックで進めてきた改革の足取りなどをまとめている。

 幻冬舎から発売、200ページ、1650円(税込み)。
(7日付の電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します)