2022.12.20 カネカがバイオの力を活用 CO₂と水になるバイオポリマー

海水中のPHBHの生分解の経過状態

 カネカは、新規事業として、生分解性バイオポリマーであるGreen Planet(グリーンプラネット、物質名はPHBH)をはじめ、バイオ医薬、サプリメント、食糧生産支援、再生細胞医療などの先端事業を重点領域に打ち出す。

 PHBHは、微生物が体内で作るプラスチックの一種。同社での研究は1991年から開始。同社の高砂工業所の土の中から見つかった微生物が元で、改良を重ねることで工業的な利用ができるようになった。

 植物油を餌に、微生物の体内でPHBHという物質に変えられ、体内に蓄えられる。それを取り出し、成型加工を施し色々な製品を作る。

 PHBHは土壌中だけではなく、海水中でも優れた生分解性を保てる。投棄された製品が捨てられて海にたどり着いても、別の微生物によって分解され、CO₂と水になる。そのCO₂や水はほかの植物が光合成に活用する、という資源循環が可能になる形だ。

 近年では、ファミリーマートのスプーンや、日本航空の機内販売用バッグに使用されるなどしている。農業資材への適用も有効な分野として注目しており、来年をメドに実用化をめざす。

 PHBHの生成に必要な油についても、現在は食べられるパーム油を使用しているが、廃食用油の活用も視野に入れる。

(21日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)