2022.12.22 【この一本】 「ファミリア」(配給:キノフィルムズ)
©2022「ファミリア」製作委員会
主人公は早くに妻を亡くし、山里で独り暮らしの陶工、神谷誠治(役所広司)。アルジェリアに赴任中の一人息子の学(吉沢亮)は難民出身のナディアと結婚し、ある日、二人で一時帰国した。
結婚を機に会社を辞め、焼き物の仕事を継ぐと宣言した学に反対する誠治。一方、隣町の団地に住む在日ブラジル人青年のマルコス(サガエルカス)は、不良集団に追われたときに助けてくれた誠治に亡き父の面影を重ね、焼き物に興味を持つ。そんなある日、アルジェリアに戻った学とナディアを悲劇が襲う。
陶工の誠治と海外で活躍する息子の学、在日ブラジル人青年のマルコス。3人の関係を軸に「家族」とは、という普遍的なテーマを扱う同作。実際に起きた事件をヒントにした、いながききよたかのオリジナル脚本を「八日目の蟬」(2011年)や「ソロモンの偽証」(15年)の成島出監督が映画化した。
自分の大切な人のためにとった行動が、誰かの大切な人を傷つける。複雑に絡んだ糸は切るしかないのかとも思うが、「自分がされて嫌なことは人にしない」―これに尽きる。
2023年1月6日から新宿ピカデリーほか全国で公開。