2023.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’23年各社の戦略 オーデリック 伊藤雅人代表取締役社長
伊藤 社長
付加価値の高い製品販売
新製品を軸に売り上げ拡大へ
昨年は厳しい市場環境だった。半導体などの電子部品の調達に苦労し、製品をきちんと供給することができなかった。
たとえ生産していないにしても、部品は中国経由での調達が多く、4~6月には上海ロックダウンの影響を強く受けた。
こうした環境下であったため、売り上げにもマイナスの影響が出た。政府の節電要請やエネルギー価格の高騰もあって、省エネ機運の高まりは事業にプラスに働いており、工場や倉庫などで高効率なLED照明への切り替えが進んだという一面もある。ただ、全体的に見ると、住宅分野も非住宅分野も市場に活気があるとは言い切れない。
当社は、付加価値照明としてスマートスピーカーなどと連携できる「コネクテッドライティング」の提案に力を入れている。省エネ機運の高まりで、よりきめ細かく照明を制御したいというニーズは高まっており、厳しい市場環境でも販売は前年から2割ほど伸びている。ただ、今の社会環境を考えるともっと伸びていていいと思っている。半面、為替の問題もあって売り上げが伸びても利益面が以前より厳しさを増している。
現況を踏まえると、国内生産の割合を増やすことも検討していく必要があるだろう。当社だけではなく、照明生産に関連してくる外部パートナーとも連携して取り組んでいくことが重要になってくる。
照明に限った話ではないが、ここ20年ほどの間に国内メーカーは生産拠点を海外に移管してきた。中国はその中心とも言え、さまざまな企業の生産拠点が増えたことから、製品に組み込む部品についてもしっかりとしたモノづくり体制が中国国内でも整ってきた。こうした背景もあって、中国で生産していなくても、中国から部品を調達している企業が多くなっていたことが、上海ロックダウンの多大な影響で示されたのではないか。新たな調達ルートの確保など今後はリスクを考慮した対応が一層求められる。
今年の市場環境は厳しい状況が続くだろう。こうした中では付加価値の高い製品の販売を増やすのが重要になってくる。
当社は、人の生体リズムに合わせたあかりを実現するサーカディアン照明も製品化している。「睡眠」や「癒やし」がますますクローズアップされる中で、拡販するチャンスだと見ている。説明が難しい製品でもあるが、エンドユーザーに良さが伝わるようさらに工夫を凝らしていく。今はシーリングライトを販売しているが、今後はホーム以外の用途にも展開していくことを検討している。
今年もデザインや、機能にこだわった新製品を意欲的に出していく予定だ。為替など外的要因の影響が色濃く残ってはいるが、新製品を軸にして売り上げの拡大につなげていきたい。
高演色タイプの「R15」も住宅用、非住宅用で広げており、従来品との価格差をなくしているのを強みにしながら、販売に生かしていく。