2023.01.04 CESでMoT(メタバース・オブ・シングス)を提起 主催者、IoTの先に展望
主催者の発表のもよう
CES2023は世界の情勢も色濃く反映する。主催者である全米民生技術協会(CTA)が今年のトレンドなどを発表した中でも、メタバースでモノがつながる「メタバース・オブ・シングス(MoT)」を提起したことなどが注目される。
スティーブ・コーニング氏が登壇。テック関連産業を取り巻く環境として、まず強調したのは、サプライチェーンの問題。「この問題を話すことが多くなった」と指摘。ただ、「中国がゼロコロナ政策を転換したのは、前向きなサインだ」と歓迎した。
また、半導体の需給が軟化しているとはいえ、「リードタイムは長くなり、半導体メーカーが活況を呈している」との見方を示した。
また労働力不足について「米国では労働者約1000万人が不足している」と指摘。さらに、利上げやインフレを指摘。イノベーションで克服していく必要性を示した。
経済学者フリーマン氏の説を紹介しつつ、景気の停滞期に技術革新が起きるとの立場で、2008~09年の景気後退期を例示。この当時、通信の進展やスマホの普及などがあったとし、今回のような局面でこそ、技術革新が進むと展望した。
さまざまなトレンドも解説。まず、モビリティーでは、「自動車に限らず、ドローンなどを含めた電動化やスマート化、車室空間向けのソリューションなどが進む」と指摘。
昨年来、特に注目されているヘルスケア関連でも、「ホームヘルスハブ」とでもいえるように、「各種ウェアラブルデバイスも使ったデータのやりとりに加えて、ヘルステックが進み、SFの世界が現実になりつつある」と展望した。
また強調したのが、メタバースについて。「私たちが考えているより近づいている」と指摘。IoTよりさらに進み、メタバースでモノがつながる「メタバース・オブ・シングス(MoT)」という考え方を提起。それには没入感(イマージョン)を高めることと、仮想化(バーチュライゼーション)が重要と指摘した。
没入感では、「私たちの記憶や感情の7割以上が、香りが引き金になっているとされる」と紹介。没入感には視覚や聴覚に加えて、「触覚や嗅覚が重要になる」との見方を示した。
また、仮想化では、「デジタルツインやシミュレーションなどさまざまな技術革新が進む」と指摘した。
MoTのトレンドがどう体感されるのか、注目されそうだ。