2020.01.22 日本ロボット工業会の20年方針

橋本康彦会長

システムインテグレーションの専門性高度化に対応

 19年の日本のロボット産業は、需要の約7割を占める輸出が依然としてマイナス傾向が続いたが、年初を底に年後半よりマイナス幅に改善が見られた。19年は受注額で前年比14%減の8240億円、生産額でも同14%減の7800億円にとどまると見込まれる。

 20年は国内では東京オリンピック・パラリンピックが開催されることで景気面での一層の盛り上がりが期待される。自動化に対する強いニーズに加え、5G関連での投資も待ったなしの状況とみられ、ひとたびきっかけが得られれば、これらの投資が一気に加速することが期待される。

 このようなことから20年のロボット受注額は前年比6%増の8700億円、生産額で同6%増の8300億円と前年からの回復を期待している。

業界活性化に3重点項目推進

 当工業会は業界活性化のさらなる推進に向け、昨年に引き続いて3点を重点項目として取り組む。

 第一は「市場拡大と人材育成の取り組み」。当工業会はロボット革命イニシアチブ協議会との連携の下、ロボット活用の裾野拡大に向けたマッチング活動や、人材育成ならびに環境整備など、具体的な成果につながるように引き続き積極的に活動していく。

 一昨年7月、当工業会内に「FA・ロボットシステムインテグレータ協会」を設立。業界ネットワークの構築、経営基盤や事業環境の向上、そしてシステムインテグレーションに対する専門性の高度化に向けた活動を積極的に展開している。

 そして今年は、ロボットシステムインテグレーションを行う上で必要な知識レベル・技能の習得レベルを測る「ロボットSI検定3級検定」を実施する。

 第二は「イノベーションの加速化に向けた産学連携の推進」。競争力をベースとしたグローバル市場での優位性確保とともに、AIとソサエティ5.0を通じた潜在市場の顕在化を図る上でも、イノベーションの加速化を通じた市場の獲得、拡大が急務になっている。そしてイノベーションの加速化を図るためにも、引き続き日本ロボット学会はじめ関係学会と関連業界との連携に努める。

 第三は「国際標準化も推進、国際協調・協力の推進」。国際標準については欧米が市場獲得の手段として戦略的に取り組んでいるが、引き続きわが国も官民挙げての取り組みが重要。国際標準化活動に対しては、ロボットのリーディングカントリーとして引き続き積極的に取り組むとともに、国際ロボット連盟の活動とも併せて国際交流を積極的に推進する。

 今年5月27-29日に例年同様、「実装プロセステクノロジー展」を開催する。加えて10月8-11日には隔年開催の「Japan Robot Week2020」を名古屋で開催するが、それに併せて経済産業省とNEDO主催の「ワールドロボットサミット(WRS)」の本大会も開催されることになっている。これらの展示会を通じて技術情報の発信とともに様々な分野へのロボット利用拡大への意欲を喚起することに加え、市場調査・技術振興などの各事業を意欲的に展開する。