2023.01.09 CES、盛況裏に閉幕 EVや脱炭素などトレンド 米ラスベガス

多くの来場者にとって新顔の西ホール

ガラスと見まごう極薄のディスプレーガラスと見まごう極薄のディスプレー

文化の違いもあってか、ジベタリアンも多い会場文化の違いもあってか、ジベタリアンも多い会場

 【ラスベガス(米ネバダ州)=CES取材班】米ラスベガスで開催されていた世界最大規模のエレクロトロニクス関連見本市「CES 2023」が8日夕(日本時間9日未明)、閉幕した。3200社が出展。コロナ禍の出口が見え始めた中、3年ぶりのフルスペックでの対面開催となった。近年のトレンドであるモビリティー関連やヘルステック、メタバース、ゲーミング、半導体関連など、テクノロジーの最先端が披露された。

 展示や講演の主会場となるラスベガス・コンベンション・センター(LVCC)には、北ホールとつながる西ホールが加わり、エリアも拡大。「展示スペースが、ワールドカップのサッカー競技場28個分になった」(主催者)中でも、にぎわいはコロナ前以上との声が聞かれた。

 電気自動車(EV)や自動運転などモビリティー関連の加速が浮き彫りになった。米農機大手のジョン・ディアは、アグリ関連では初の基調講演への登壇でも注目。また、欧米の自動車各社がこぞって、主力車についてEV化や自動運転の取り組みを表明。日本勢は、トヨタ自動車などのアピールこそなかったものの、ソニー・ホンダモビリティのプロトタイプが注目を集めた。

 スマート家電、スマートシティーの動きも一層鮮明になった。韓国のサムスン電子などが「つながる家電」の新施策を打ち出した。さらに、マリン(海洋)テクノロジーもお目見えし、展示会の幅の広がりを示した。

 大企業ばかりではなく、日本やフランスなど各国から、政府系機関の後押しも受けつつ、スタートアップが多数出展。3200社のうち約3分の1は初参加といい、新興組の健闘も目立った形だ。

 CTA側はCES開催に当たり、「その価値の中核は人のつながりにある」とコメント。リアル開催の意義を強調した。
ただ、業界に吹くのは順風ばかりではない。CTAの今年の市場予測でも、消費者の支出は世界的なインフレや景気後退の影響を受けて、弱含みで推移するとみられる。半導体需給も落ち着いてきたとはいえ、まだまだら模様でもある。とはいえ、そうした中でも、ヘルステック関連など伸びが見込まれてもいる。

 「世界のテクノロジーで次に訪れるのは何かを示す」(CTA)。そうしたショーケースとしての意義を改めて示した開催となった。
(9日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)