2023.01.12 【計測器総合特集】横河計測 山崎正晴社長

山崎 社長

顧客への貢献領域の拡大に注力

 横河計測は東京都八王子市に本社を移転してから2年が経過した。山崎正晴社長は「リモート勤務などポストコロナも見据え、各部署で生産性の最適化を図る働き方やコミュニケーションを実践した」と話す。

 2022年は半導体をはじめとした部品供給問題で「思った以上に広範囲な影響があった」と振り返る。地政学的なリスクや景気の減速など「予定調和的ではないことが生じ、難しい1年だった」

 一方で「不透明で想定外なことが起きた時のレジリエント(柔軟で機動的)な対応ということでは非常に鍛えられ、進歩があった」と収穫も多い年となった。具体的には部品の調達や生産、設計への対応で、一時的な対処ではなく将来を見越して議論し、基盤強化を図った。山崎社長は、(必要な量だけ在庫を確保する)ジャストインタイムの生産方式が「全ての製品でその思想でいいのかと根本的な見直しをする契機になった」と述べる。

 今後力を入れるのは顧客への貢献領域の拡大。例えば、測定器をソフトウエアでつないで行う複合的な計測ソリューションだ。電力と波形を同時に測定して事象の因果関係を評価する。衝突試験の際、高速度カメラなど他社製の周辺機器を接続して時刻同期した上での測定を提供し、クラウドを用いた新しい測定ソリューションの展開も構想する。

 通信についても、光測定器を組み合わせて光と電気両方のパラメーターを測る試みを進める。光スペアナはウエアラブル端末の製造場面でも活用が多い。今後、サービスロボットへの圧力計の適用など新たな測定需要も探っていく。

 目指すのは「測定器の販売」にとどまらず、顧客の課題解決のための「測定パートナー」になることだ。

 23年度は中期経営計画の最終年度。山崎社長は「不透明な状況の中でもお客さまのご要望を取り入れて注文をいただけている」と、目標達成への手応えを口にする。「ピンチとチャンスが同居している」とし、23年を「チャンスにできる年にしたい」と期待する。