2023.01.12 【計測器総合特集】エヌエフホールディングス 高橋常夫会長

高橋 会長

「環境エネへの貢献」共通目標に

 エヌエフホールディングスはホールディングス制となって今年で4年目。計測制御デバイス、電源パワー制御、環境エネルギーに、メンテナンスの「校正・修理」を加えた4事業で展開する。

 高橋常夫会長は「2022年は種まき、仕込みの年だった」と語る。

 23年は主要3事業を貫く「環境エネルギーへの貢献価値」を共通の目標に掲げる。

 具体的には高効率インバーターの開発に取り組む。エヌエフ回路設計ブロックの交流電源、NF千代田エレクトロニクスの直流電源といった技術を生かし、新製品の投入を目指す。

 水電解による水素製造向け電源も注力する分野の一つだ。

 水素製造プラントで水を電気分解して水素を製造するには大型の直流電源が必要となる。NF千代田エレクトロニクスの水素製造用直流電源を訴求するほか、太陽光発電で生じた電気を蓄電し、エヌエフ回路の蓄電用インバーターを用いて安定供給を図る。

 NFブロッサムテクノロジーズは家庭用蓄電システムを提供。各事業会社が共通のキーワードで新製品開発に力を注ぐ。

 このような「共通価値」を軸とした販売活動には、各事業会社が共同で利用する営業プラットフォームが力になる。

 顧客情報を共有するデータベースに基づき、それぞれの事業会社から営業職員や技術スタッフが同行して、グループが持つ幅広いソリューションを紹介していく。

 22年は原材料の購入価格上昇に伴い、製造原価も上がったが、内部努力で価格改定の実施は踏みとどまった。

 部材不足による生産遅延の影響も小さくなかったが、受注状況は好調だ。23年は、順調に生産できれば、業績への大きな積み増しが期待できる。

 高橋会長は「グループ各社が有機的につながり、それぞれの技術を融合した製品で新しい価値を提供したい」と力を込める。

 近年注目される量子コンピューティング研究には、同社の低雑音信号処理技術が活用されている。「エヌエフの技術を統合したフラッグシップ技術」と位置付け、国産の量子コンピューター実現に向けてサポートを続ける方針だ。