2023.01.13 【放送/機器総合特集】パナソニック コネクト 奥村康彦執行役員常務現場ソリューションカンパニー社長

奥村 常務

「開発と販売の両輪」など3つの観点で課題解決

 昨年4月にパナソニック コネクトとして新たに生まれ変わった。お客さまにとっての大きな価値となる変化点は開発と販売の一体経営となったことにほかならない。映像と音響の製品・技術開発を担うメディアエンターテインメント事業部と国内販売を担う現場ソリューションカンパニーの二つが両輪となり、これまで以上に現場の多様なニーズを迅速に捉えて的確に貢献できる体制が整った一年になった。

 当社は「現場から 社会を動かし 未来へつなぐ」という新たなパーパスを掲げている。

 コロナ禍を機に加速した、労働集約型な面が多く残る映像制作の現場における業務効率化や新たなワークスタイル改革の潮流を捉え、多様な演出表現と高い生産性の両立を提案することは、パーパスを実現するための戦略であり、長年映像制作の源流を支えてきたパナソニックの使命でもあると考えている。

 映像制作現場における「撮る・創る・映す」を革新するIT/IPベースのライブ映像制作プラットフォーム「KAIROS(ケイロス)オンプレミス」を2020年から提供している。このKAIROSを軸に、「現場」の概念を変えるリモートプロダクションを提案しており、昨年6月にオンプレミスをクラウド化したサブスクリプション型映像制作ソリューション「KAIROS クラウドサービス」も開始した。

 映像制作のワークフロー全体をシームレスに、リアルタイムにつなぐことで、時間や場所に制約されない柔軟かつ機動的な共同作業と、多彩なライブ演出を可能にする。国内での成果をもとに、海外展開も視野に入れており、現地のお客さまに寄り添いながら現在準備を進めている。

 そしてパナソニックが強みにしてきたコンテンツ価値を進化させる貢献も進めてきた。

 4KやIP対応に力を入れて進めてきたリモートカメラが目下順調に推移しており、グローバルではトップシェアを誇っている。システムカメラとリモートカメラの併用による多様な撮影手法で表現できる映像演出も注目されている。今年2月にシステムカメラとの混在運用を可能にする最上位モデルのリモートカメラ「AW-UE160W/K」を発売予定で、ハイエンドモデルからエントリーモデルまで10機種のラインアップを拡充し、多様なニーズに対応していく。

 また、被写界深度の浅いイメージの撮影が可能なPLマウントレンズを使ったシネマティックな映像表現も注目されはじめている。欧米など海外ではスポーツでも被写界深度が浅いレンズで撮って映像を放送や配信に使うケースが増えており、ニーズが高まっている。

 こうした新たな映像体験の欲求にすばやく応えるべく、スタジオシステムカメラ「AK-PLV100」を開発中で、海外向けに3月に発売を予定している。リーズナブルな価格ながらシネマティックな映像が撮れるので、マッチする現場を幅広に考えながら市場浸透に取り組んでいく。

 一方で、CATV局に4K対応セットトップボックス(STB)の交換需要が堅調に進んだ年でもあった。CATV業界では4K放送対応のACASマイグレーションが進んでおり、4K放送の受信にはSTBが必要になる。当社のSTBはエントリー/ベーシック/ハードディスク内蔵/ブルーレイディスク対応の4機種のラインアップをそろえて、ユーザーのさまざまなニーズに応えて提案をしている。

 23年度は新たな会社としてスタートして2年目となるが、パーパスをもとに三つの観点で、お客さまの課題解決を通じて社会に貢献する継続進化の年にする。

 一つ目は「開発と販売の両輪」で、お客さまに寄り添いお客さまの現場からお客さまとともにイノベーションを進めていく。

 二つ目はポストコロナ時代のニーズに対応したソリューションをさらに実現すべくIPに対応した「つながるソリューション」を提供する。

 三つ目につながるソリューションに必要なパートナー企業との技術連携やシステム制御連携による機能やサービスの進化を図るべく「パートナーシップの強化とエコシステムの拡充」にも注力していく。これらを大きく前進させる年にしていきたい。