2023.01.18 【情報通信総合特集】主要ソリューションプロバイダー各社に聞く23年取り組み 電波新聞社アンケート
DX・海外展開・働き方改革
電波新聞社はこのほど、主要ソリューションプロバイダー各社に2023年の市場、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組み、海外展開、働き方改革についてアンケート調査を実施し、先の見通しを探った。アンケートは毎年新年と夏の2回行っているもので、各社の景況感の見方と施策、成果を定点観測している。今回は22年12月21日から23年1月12日まで実施し、37社から有効回答を得た。
受注見通し 3月まで5割以上が「増加」
2023年は原材料費の高騰やインフレ、ロシアのウクライナ侵攻の問題など市場環境に不透明感はあるもののICT(情報通信技術)関連市場は22年から続いて堅調に推移しそうだ。デジタル技術を活用した投資は活発で、市場をけん引していくほか、カーボンニュートラルをキーワードにした投資案件も増えてくるとみられる。
アンケート結果によると、足元の受注見通しは3月までは5割以上が「増加」を選択しており、直近の見通しは明るい。4月以降も3~4割が「増加」と回答。「減少」を選択した企業はなく、前年から続いて堅調に推移していきそうだ。
業種別の受注見通しは前回調査から続いて製造業が好調で、57%が「増加」と回答。流通や通信も約4割が「増加」を選択した。「増加」の選択が最も少なかったのが金融だが、「大幅増加」を選択している企業もあり対象顧客での差がみられた。公共は「大幅増」と「減少」が一定数あり企業で見通しが割れた。
市場の見通しについては「緩やかに成長し続ける」との回答が7割で最も多かったが前回調査よりは減少した。確実なところでは今年前半は成長していくとの見方だが、一部でマイナスを予想する企業もみられた。半導体不足など、市場環境に左右されるとみている企業もあった。
新型コロナウイルスの影響については、良い方向で出ている企業が半数を超え、前回調査よりも増えた。マイナスの影響が出ている企業は25%で前回からは大幅に減少。影響がなかったところは前回の15%から19%まで増えた。
今回は新たに円安の影響についても聞いた。円安は悪い方向に出ている企業が半数を超えた。良い方向に出ている企業が約1割、出ていない企業が3割あったが、全体的には物販を伴う事業を行う企業では影響が出ているようだ。
23年に伸びる分野は前回調査から上位に変動はなく、「クラウド」「セキュリティー」「AI」「IoT」となった。今回新設した「カーボンニュートラル」が一気に5位に入り、環境への取り組みが本格的に始まりそうだ。前回よりも回答が大きく増えたのが「クラウド」「セキュリティー」「SI」など。前回新設した「メタバース」は若干減った。
23年の重点施策は「セキュリティーの強化」が再浮上するとともに、「働き方改革の取り組み」の回答が大きく増え2位になった。「クラウドの取り組み」は引き続き回答が多いほか、新設の「カーボンニュートラル」も5位に入った。
そのほか、前回から大きく増加したのが「デジタルマーケティングへの取り組み」「アジャイル開発への取り組み」「サービス事業へのシフト」など。「5Gへの取り組み」「コスト削減」などは前回から減った。
DX 大半が取り組みクラウド活用
デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みについては提供している企業は92%(前回92%、前々回94%)となり、引き続き大半の企業が取り組んでいる。DX関連のサービスでは前回同様「クラウド」が最も多く、「IoT」「AIを組み込んだシステムやサービス」も回答数が多かった。「ビッグデータ関連サービス」も回答が伸びたが「メタバースを使ったサービス」は減った。
DX関連の売り上げ状況については「伸びている」と回答した企業が大半を占めているが、一部で「伸びていない」との回答も見られた。取り組み状況からみると「AIを組み込んだシステムやサービス」「ビッグデータ」で売り上げが伸びていない比率が高かった。
現在取り組んでいないが今後取り組みたいサービスでは「メタバース」が最も多く、次いで「AIを組み込んだシステムやサービス」となった。
働き方改革 残業減、満足度向上など効果
働き方改革については全社が取り組みを進めていた。
働き方改革の取り組み内容については前回と同様の結果となり、「テレワーク」「人事制度の見直し」「AI、RPAの導入による作業の削減」の順だった。AIやRPAの活用は前回から選択した企業が大きく増えた。
そのほかの回答ではオフィス環境の見直しについての回答が目立った。
働き方改革の効果については100%が「出ている」(前回97%)と回答。具体的な効果については、「残業が減った」が前回から大きく増え1位に。「社員満足度が上がった」回答も増えた。
一方で前回1位の「生産性が上がった」という回答数は減った。そのほか「移動時間の減少」「自律的な社員の増加」といった回答があった。
働き方改革の課題については前回と同様に「コミュニケーションの改善」が最も多く、「業務管理の方法」と続いた。
前回からは「社員のモチベーション向上」は減少し、「公正な業務評価」の選択が増えた。出社しない人とのコミュニケーション不全を問題視するところが多く、解決に向けた取り組みを進める企業も増えている。
在宅勤務については大半の企業が「全社的に継続する」という回答。サテライトオフィスを増やすところ、出社と在宅を併用するところ、制限を付けるところも前回同様に一定数あった。
「海外展開している」が70% 北米やインド期待
グローバルに関しては「海外展開している」と回答した企業が70%(前回61%)となり、撤退したところも6%あった。海外事業の多くは営業拠点とオフショアで、両方を展開しているところもある。海外売上高比率は前回同様「0~3%」の企業が最も多く52%(前回45%)だった。2位は「3~5%未満」17%(18%)、3位が「20~30%未満」13%(15%)となった。「30%以上」の回答は前回から大きく減った。
海外売上高については「増えている」との回答が40%(前回48%)となり、前回から減少したものの拡大基調にはあるようだ。一方、「減っている」との回答は、12%で前回の9%(前々回4%)よりもさらに増えた。
増えている企業はサービスの拡大や顧客需要の拡大などがあり、逆に減った企業はコロナの影響、エネルギー危機による経済不況などを挙げていた。
海外事業の今後については46%(前回62%)が「増やす」と回答。海外展開をしていない企業については、今後の予定は未定とした企業が大半を占めた。
今後期待できる地域については、「北米」が前回に次いで単独1位になった。前回から大きく伸びたのが「インド」で2位に。「タイ」「フィリピン」も大きく伸びた。逆に「西欧」は前回から回答が減った。
アンケート回答企業一覧
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