2023.01.18 【情報通信総合特集】東芝デジタルソリューションズ 岡田俊輔社長

〈東芝執行役上席常務〉

オープン志向の成長戦略に意欲

 デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた投資が拡大する中、2022年度上期(22年4~9月)の業績は非常に好調だ。下期も堅調に推移する見通し。顧客と継続的につながり、収益を上げ続ける「リカーリング」型のビジネスが成長のけん引役となっている。東芝は、フィジカル(実世界)から集まったデータを世の中に役に立つ価値へ変換するCPS(サイバー・フィジカル・システム)テクノロジー企業として磨いてきた。この強みを生かしている。

 半導体不足の影響がいまだにあり、部材調達の計画を慎重に立てている。円安基調の影響は厳しく、海外からのハードの調達コストが上がる傾向にある。さらに円安は、海外にソフト開発を委託するオフショア開発にも影響を与えている。 こうした動向をよくウオッチしながらマネジメントしていきたい。

 東芝では「広義のDX」を、デジタル技術を活用して業務内容の効率化や高度化などに取り組むデジタルエボリューション(DE)と、ビジネスモデルを大きく変革するDXに分けて成長戦略を描いている。DEからDXへは着実にステップを踏んでいきたい。これを、ビジネス(電車)を止めずに会社(街)を再生する「SHIBUYA型ステップ」と呼んでいる。

 東芝グループには、約7400人のソフトウエア開発要員がいる。その要員を含む開発機能をグループ内で最適化し、開発の底上げを図ろうとしている。先行する開発の方法論を標準化して全社に展開していく。

 技術やノウハウを広く世の中に問い、新しいものをつくっていく。そこで鍵を握るのが外部企業などとの共創で、エコシステムの形成にも努める。ソリューションの提供を通じてサプライチェーン(供給網)や人材のデータを蓄積しており、そのデータを使って収益の機会を広げたい。

 量子社会を見据えて、商業化に入りつつある(次世代暗号技術の)量子暗号通信をしっかりと立ち上げるとともに、量子コンピューターの研究の中で生まれた独自技術を実ビジネスにつなげていきたい。