2023.01.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】菱洋エレクトロ 中村守孝社長
中村 社長
独自解決策を創出、新たな商社へ
菱洋エレクトロは、「半導体・デバイス」と「ICT・ソリューション」を主要事業領域とする。中村守孝社長は2018年4月の就任以降、自ら陣頭に立って社内風土、組織、人材、事業領域、財務などすべてを見直し、徹底した改革に取り組んできた。低迷していた業績も19年1月期から増収増益基調に転じ、23年1月期の営業利益は21期ぶりの好業績を見込む。
中村社長は「売り上げの多くを占めた半導体・デバイスの単品販売ビジネスに商社の将来は無いと考え、ICT・ソリューション事業へと軸足を移し、独自の解決策を創出する新たな商社に変革を遂げつつある。お客さまのその先のエンドユーザーまでを見据えた課題解決につながるビジネスの展開に注力している」と話す。
同社は中国や台湾、韓国の新規商材を拡大する一方で、22年も継続した半導体不足においては顧客を第一に考えて需要の高い製品を提供してきた。中村社長は「お客さまの求める製品を発掘して提供するのは商社の使命だが、サプライチェーンの正常化が進む23年は在庫調整局面に入り、ビジネスも厳しくなる。スピード感をもって変革を進める」と方向を示す。
同社はソリューション事業強化の中で、医用画像を中心とした医療分野や、工場などの監視・予知保全用途にNVIDIA製品による人工知能(AI)を積極的に活用している。最近では同社子会社のスタイルズと連携し、NVIDIA製エッジAIデバイスを活用したソリューションにより、アイシンの自動車部品工場における製品検査判定の自動化をサポートするといった事例もある。同社はNVIDIAの一次代理店として、22年7月に「Best Distributor of the Year」を受賞した。
さらに開発部門の改革により、独自の技術を生かした製品も販売している。中村社長は「自由に開発ができる環境を整えた。これまでの技術の独り歩きから、市場共通の課題に根差したアプリケーションや、ソリューション開発へと変革を進めている」と話す。