2023.01.19 【LED照明特集】オーデリック 伊藤雅人代表取締役社長

伊藤 社長

〝コネクテッドライティング〟に力

 昨年は厳しい市場環境だった。半導体などの電子部品の調達に苦労し、製品をきちんと供給できないこともあった。半面、政府の節電要請やエネルギー価格の高騰もあって省エネ機運の高まりは事業にプラスに働いている。工場や倉庫などで高効率なLED照明への切り替えが進んだ。

 当社は、付加価値照明としてスマートスピーカーなどと連携できる「コネクテッドライティング」の提案に力を入れている。省エネ機運の高まりで、よりきめ細かく照明を制御したいというニーズは高まっており、厳しい市場環境でも販売は前年から2割ほど伸びている。ただ、もっと伸ばしたいと思っているし、伸ばせる潜在性もあると見ている。

 現況を踏まえると、国内生産の割合を増やすことも検討事項に入ってくる。照明生産に関わる外部パートナーとも連携して取り組むことが必要であるため、当社単独で判断は仕切れない。

 照明に限った話ではないが、ここ20年ほどの間に国内メーカーは生産拠点を海外に移管してきた。中国はその中心とも言え、さまざまな企業の生産拠点が増えたことから、製品に組み込む部品についてもしっかりとしたモノづくり体制が中国国内でも整ってきた。こうした背景もあり、中国で生産していなくても、中国から部品を調達している企業が多くなっていたことが、上海ロックダウンの多大な影響で示されたのではないか。新たな調達ルートの確保など今後はリスクを考慮した対応が一層求められる。

 今年の市場も厳しい状況が続くと見ている。こうした中では付加価値の高い製品の販売を増やすのが重要だ。当社は、人の生体リズムに合わせたあかりを実現するサーカディアン照明も製品化している。「睡眠」や「癒やし」がますますクローズアップされる中、拡販するチャンスだと見ている。今はシーリングライトを販売しているが、今後はホーム以外の用途にも展開することを検討している。

 今年もデザインや機能にこだわった新製品を意欲的に出していく予定だ。同時に、高演色タイプの「R15」も住宅用、非住宅用で製品群を広げており、従来品との価格差をなくしているのを強みに、販売に生かしていく。