2023.01.20 量子技術で生産計画、2時間の作業を数秒で NEC、3月から4工場で本格導入
量子コンピューティング技術を活用した生産計画立案システムが導入されるSMT工程
NECは20日、ICT機器を製造するNECプラットフォームズと共同で、量子コンピューティング技術を活用した生産計画立案システムを構築し、3月から本格導入すると発表した。国内4工場で、電子部品を基板に実装する工程で実装。毎日2時間近くを要していた生産計画立案が数秒で実現できる見通しだ。
NECプラットフォームズでは、電子部品をプリント基板に実装する表面実装工程(SMT)で、1ラインで1日約30品種を生産。日々異なるオーダーに対し品種を変更する際には、数百種ある部品や製造条件の設定を変更するためラインを停止する必要がある。ライン同士の時間の重なりを最小限にするなど生産効率化を考慮した組み合わせは膨大に上り、熟練作業者でも計画立案に1~2時間がかかっていた。
今回開発したシステムは、量子コンピューターを疑似的に再現する量子アニーリング技術を活用。膨大な選択肢から最適な解を探す「組み合わせ最適化問題」を超高速処理できる「NEC Vector Annealingサービス」をSIM工程に取り入れたところ、熟練作業者と同等以上の生産計画が数秒で立案できることを確認。計画立案の手間や時間は90%削減されるほか、設備稼働率15%は向上、段取り工数50%削減につながる効果が見込まれるという。3月から、この仕組みをSMT工程を持つ福島、白石、大月、掛川の4事業所に本格導入し、生産性向上と業務効率化を目指す。
NEC量子コンピューティング事業統括部長の泓宏優氏は「24年度ごろにはパッケージサービスとして商品化していきたい」と話した。
(23日付の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)