2023.01.25 CESは「サステナブル」前面に 世界的トレンド、運営自体もグリーンに

サムスン電子の大きなブース

 「サステナビリティー」。今回のCESでは、この言葉が随所で見聞きされた。サムスン電子の大きなブースでは、目立つディスプレーが各所に。個別製品などではなく、「グリーンインパクト」に絞ったパナソニックグループも熱い視線を集めた。

 ここ数年の傾向は、「持続可能性」をうたう出展企業が増えていること。むろん従来から、企業の社会的意義の立場で訴求するところはあったが、トピックとしてではなく、根幹にそれを据えようという動きだ。

 出展約4000社を検索すると、製品やサービスが「サステナビリティー」に分類されるところが今回は約100。「メタバース」での検索結果にほぼ匹敵し、大きな分野になっていることがわかる。製品分類などとは別に、広義で含まれる先は、さらに多数になる。会場の感覚では、「持続可能性」を掲げない企業のほうが少数派と思える。

 モビリティーもスマート家電も、根底に「サステナビリティー」があり、そこからの具体的な展開として製品がある、とういう位置づけだ。

 主催者の全米民生技術協会(CTA)も報道陣向けの解説で、「スマートグリッドや供給網、アグリ/フードテック、空気質や水質など、さまざまなテーマが、サステナビリティーやESGに含まれる」と強調した。

 持続可能性は、ブース設計の工夫にも表れている。

 パナソニックグループは、カーペットを敷かず、床がむき出しなのが目を引いた。環境負荷に配慮したブース設計にし、建築物や床材を最小限にとどめ、リサイクル素材を多く使用。「カーボンフットプリントを大幅に削減した」という。商品展示の背景には、サステナブルな建材の竹を使用したバックボードを活用した。

 ソニーグループもCEATECの際やパナソニックと同様に、環境配慮を展開。パネルの一部に、ソニーが開発した紙素材「オリジナルブレンドマテリアル」を使用した。これは産地を特定した竹、さとうきび、市場回収したリサイクル紙を原料に開発し、環境に配慮した紙素材だ。

 また廃材を減らすため、ほかのイベントで使ったカーテン再利用やレンタル部材活用も。グループは、新たに設計する小型製品のプラスチック梱包材を全廃を掲げており、そうした姿勢を見える形で訴求した。

 キヤノンUSAも、かねて掲げる企業理念を示す一環で、「共生」の字を大きく配した休憩スペースを設けた。通常なら、ブースプレゼンなどに使うような広い場所を開放。コロナ対策にもなった形だ。

 見本市の在り方も含め「サステナビリティー」が前面に出てきたCES。今回よりも規模を広げる可能性の高い次回「CES2024」、また世界各地の展示会や企業活動にどうつながっていくかが注目されそうだ。

(CES取材班)