2023.01.31 【エンターテインメント総合特集】【この一冊】「インベンション 僕は未来を創意する」 ジェームズ・ダイソン著(日経BP・日本経済新聞出版)

「インベンション 僕は未来を創意する」ジェームズ・ダイソン著

 革新的なサイクロン式掃除機に羽根のないファン、ドライヤーなど、日本にも多くの愛用者がいるダイソン社の創業者兼チーフエンジニア、ジェームズ・ダイソン氏の自伝。

 アート好きな学生が英ロンドンのロイヤルカレッジ・オブ・アートを卒業後、発明・起業家との上陸用高速艇の開発、手押し車の商品化など失敗から得た経験を生かし、試行錯誤を重ねて製品化していく。

 発明や特許をめぐるトラブルなど決して順風満帆ではなかった。ヒット作のサイクロン式掃除機の成功の陰には5126台の試作機があった。

 さらには洗濯機や電気自動車、人工呼吸器など開発に至るも商品化や販売ができなかったものも。

 氏は既存の常識や技術、英国の製造業を取り巻く環境に疑問を投げ掛け、挑み続ける。それは家電のみならず農業や教育に事業を広げるきっかけとなる。氏は言う「市場調査に耳を傾けるべきでない」「自分のアイデアを、進歩を信じることがどれだけ大切か」と。

 モノ作りに携わる人にぜひ読んでほしい。川上純子訳、日経BP・日本経済新聞出版刊。440㌻、2420円(税込み)。