2023.02.08 【コネクター総合特集】コネクターメーカー各社、今年も生産体制拡充を推進

ヒロセ電機の東北アドバンスト・テクノロジーセンター(盛岡市)完成予想図

スマートファクトリー化などでモノづくり力を一層強化

 コネクターメーカー各社は、今年も国内外で新工場建設や既存工場拡張に精力的に取り組む。各社は、中長期でのグローバル需要増大への対応や、BCP(事業継続計画)対応強化などのため、今年も生産体制拡充に向けた積極投資を推進する。

 コネクター各社の新工場建設や新工場棟増設の動きは、2017年ごろから19年ごろまで活発さが継続し、ASEANや中国を軸に、積極投資が実施された。同時に、国内外での試験・評価体制の増強や、工場のスマートファクトリー化、モノづくり力強化のための最新設備導入なども進んだ。

 20年から21年前半は、コロナ禍による先行き不透明感などを背景に、不要不急の投資を先送りする動きも一部でみられたが、21年後半以降は再度、設備投資への機運が高まり、21年後半から22年にかけて、積極的な生産能力増強が行われた。

 直近のコネクター市場は、中国経済の低迷や世界的な民生機器需要の停滞、半導体設備投資の一服などから、やや受注が鈍化傾向だが、コネクター業界では、中長期での需要増大への対応やBCP対応、地産地消対応などを踏まえ、23年から24年にかけても多くの企業が国内外で新工場建設や既存工場増設などを計画している。

 特に最近は、車載や産機向けなどの高付加価値製品の生産能力増強や、サプライチェーン強靭化(きょうじんか)などのため、国内工場への再投資や新たな国内拠点建設などの動きも目立つ。

 各社は、新工場や新工場棟建設により生産能力増強を図るとともに、より高度なモノづくりの推進やスマートファクトリー化を進めることで、モノづくり力の一層の強化を目指す。

 ヒロセ電機は、23年は、子会社の郡山ヒロセ電機(福島県郡山市)の新工場建設のほか、新たな生産設備開発拠点の「東北アドバンスト・テクノロジーセンター」(盛岡市)の建設にも着手する。また、マイクロコネクターの生産・開発強化のため、韓国のヒロセコリアでもR&D棟を建設中。23年にこれらを仕上げ、24年には稼働に移行させる。これらにより、中期的な供給力、モノづくり力の対応強化を図る。

 日本航空電子工業は、コネクター事業の生産拠点である山形航空電子(山形県新庄市)第2工場に新棟(B棟)建設を進めており、23年春の竣工(しゅんこう)を予定。これにより、EV向けコネクターの生産技術確立・生産能力拡大を図るとともに、自動車・産機向けなどの国内生産拡大によりサプライチェーンの強靭化を進める。

 イリソ電子工業は、国内新工場を秋田県横手市に建設する。23年度に着工し、25年の操業開始を予定。今後のxEV向け車載機器を中心とした需要増大や、マルチ生産体制によるBCPおよびマーケットインによる物流費の低減と生産効率を見据え、新工場建設を決めた。同社ではさらに、岩手県花巻市に金型の新工場を建設することを決めた。新工場は23年末の操業開始を予定しており、同社グループの成形金型技術の中核拠点となる予定。

 山一電機は、半導体テストソケットやコネクターの生産体制増強のため、佐倉事業所(千葉県佐倉市)の敷地内に新棟を建設する。23年2月に着工し、24年4月の生産開始を予定。さらに、海外でも半導体テストソケットの生産能力増強などのため、フィリピンで新規生産工場建設用地を取得した。