2023.03.13 熟練者の知識など学習しDXを支援 東芝がインフラのメンテに活躍するAI開発
想定される展開(提供=東芝)
実装が注目される生成系、対話型AIなどの基にもなる言語モデル。そうした技術の一環として東芝は13日、熟練者の知識を高度な保守に生かす「インフラ文書理解AI」を開発したと発表した。機器の図面・仕様書や点検・トラブル記録といった、蓄積された専門的な文書(専門データ)を高効率・高精度に認識。保守点検の効率化を実現する。まず社内展開を見込み、将来はインフラ関連以外への横展開も想定されそうだ。
工場やプラント、ビルなどに数多く導入されている設備は、老朽化や人手不足が課題。省人化につながるリモートメンテナンスなどの保守点検サービスが求められ、国内市場規模は2025年に3兆円近くになるとの試算もある。
専門データを少ない計算リソースで高精度に理解することができれば、記載不備のある報告書の自動チェックや、類似の過去のトラブル例を参考にした早急な対策作り、故障傾向の把握による故障前の対応など、メンテの大幅な効率化ができる。
そうした中で東芝が開発したAIは、一般用語と専門用語を少ない計算リソースで学習できる。有効性を検証では、トラブルが発生した機器の状況を示す「現象」や、機器を修理するための「対策」が記載された場所を、正解率89%で抽出できると確認した。実用水準とされる90%に迫る高精度という。
例えば、「サービスコールが発生した」といった現象について、原因が「LGC基板の上の素子のはんだ不良」と疑われ、その対策として「LGC基板を交換」し、その結果として「再発なし」となった…といった形で、情報を抽出してタグ付けできる。
こうした技術はほかにも小売り現場など産業面のデジタルトランスフォーメーション(DX)にも活用できそうだという。
(14日付の電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します)