2023.03.28 【電子部品メーカー・商社 中国拠点特集】 変革を遂げる中国の日系電子部品工場 日本合璧工業
武漢工場鳥瞰(ちょうかん)図
武漢に新工場、最新ラインで増強
日本合璧(ごうへき)工業は、合璧(HOPPY、中国語読みで「ホッピー」)製品を扱う〝日本唯一〟の企業。端子台やヒューズホルダー、フロートスイッチ、ハーネスAssy、ドレンポンプ、流量計、循環ポンプなどを取り扱っている。合璧は「璧」(玉のような宝物)が集まっている、といった意味で、業界では「ホッピー」で親しまれている。
親会社は台湾の合璧工業。1970年、詹其力(せん・きりき)氏が創業した。氏は台湾松下電器で経験を積み、地元企業を経て独立。松下幸之助翁や稲盛和夫氏らの教えを直接・間接に受けて経営を磨ぎ、一代でグループを育て上げた。
百年幸福企業を目指し、ご令孫は日本、アメリカ留学も果たすなど、未来に向けての人材育成にも注力している。「感謝と報恩の念を以(も)って、社会に寄与する」といった理念を掲げる。
現在はグループ連結で売上高187億円(2022年)、従業員も1000人以上を擁する。台湾の本拠のほか、中国(上海、東莞に現地法人、広東や南京、青島に事務所や連絡所)、日本法人などを展開する。エアコンや空調設備向け端子台などでは有数の存在で、多くの有力メーカーなどに採用されている。
設計や金型製造、樹脂成形、プレス、ワイヤハーネス、アッセンブリーまでグループ内で手掛け、製造から管理まで一貫した体制で、高品質な製品を届ける。
日本からベテラン技術者らを招いて技術向上を図っているのも特長だ。
ロボットをはじめ合理化投資なども積極的に進めている。近年、特に力を入れている一つは車載関連で、自動車産業向けの品質マネジメント規格IATF16949もグループで取得している。
そうした中、生産の柱になっている中国で、新しい拠点として期待するのは、武漢市で整備を進めている新工場。約3万3000平方メートルの敷地を確保し、最新ラインで生産増強を図る。
生産を予定する製品は車載向け成型部品を主として、精密金型の設計製作、熱硬化・熱可塑樹脂成形品、プレスや切削金属、端子台などと幅広い。