2020.02.07 【ICT展望2020】NECネッツエスアイ・牛島祐之社長
牛島社長
中計の達成へ最終準備
―19年度は新中期経営計画をスタートしました。
牛島社長 新中計ではデジタルと次世代高速通信規格5Gの時代を見据え、最新のデジタル技術を活用してイノベーションを創出していくことを主軸にした。初年度は十年来取り組んできた働き方改革をゼロベースで見直すとともに、次代を見据えた基盤づくりを進めている。
―働き方改革をどのように見直しますか。
牛島社長 主力のオフィス改革ソリューション「エンパワードオフィス」を展開してきたが、これから日本が世界で戦える競争力をつけていくには、よりイキイキと働き、健康で幸せを感じられる環境づくりが必要だ。特に毎日の通勤は体力を消耗するだけでなく移動時間も無駄になるため、昨年10月から分散型オフィスを導入し首都圏10カ所に「アクティビティベース」と呼ぶオフィスを新設した。
スタッフ部門は居住地に近い拠点に異動し、営業部門は営業活動しやすい地域に集約して千葉や埼玉、神奈川など7カ所で運用がスタートしている。19年度中には完了する。
アクティビティベースはビデオコラボレーショツール「ズーム」でつなぐほか、様々な情報共有とコミュニケーションができるクラウドサービスを活用し、効率化と生産性向上を図っている。今後はよりコミュニケーションを高められる施策も打っていく。
―デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)に取り組む企業が多いです。
牛島社長 働き方改革を進める上でもデジタル技術を活用する上でも様々なサービスが連携することで本当の価値が引き出せる。この観点から昨年、DX事業の新ブランド「シンフォニクト」を立ち上げた。電話やネットワークだけでなく、様々なクラウドを統合できるプラットフォームを用意し、既存の仕組みとクラウドを統合した環境の構築を支援する。
-昨年は新事業に取り組み始めましたね。
牛島社長 これまではシステムを提供していくことを生業にしていたが、今後はデジタル技術を組み合わせた新たな事業モデルの創出も必要になると考え、サーモンの陸上養殖事業に参入することを決めた。これからの共創モデルで、事業を拡大する代表事例になると考えている。
―今年は5Gが国内でもスタートします。
牛島社長 当然5G時代に向けた体制づくりも進めていく。特にネットワークインフラ事業はデジタル技術を取り入れたスマートシティー、スマートタウンの構築に向けたPOC(実証実験)も始まっている。ローカル5Gの免許申請も行う計画で、今年は川崎に5Gの研究や実証などができる5Gラボを開設する。NECと連携しながら進めていきたい。
―20年の施策は。
牛島社長 20年度は中計2年目。計画の達成に向けた最終準備をする年で「レディ・トゥ・ゴー」をキーワードにしていく。DXやAIなどの技術力を強化するだけでなく施工工事の技術者も増強する。営業のSE(システムエンジニア)化も図っていく。チーム力をつけることも大切になるため、コミュニケーションをさらに高めるためのツール活用を進めていく。
コーポレートベンチャーキャピタルでは4社に出資し共同開発に取り組むほか、北米にスタッフを常駐させ新技術やサービスの発掘にも努める。今年は東京・日本橋にDXを実現する共創の場「イノベーションベース」を開設する。スタートアップなども含め、様々な企業や人が集まりイノベーションを起こせるようにしたい。