2020.02.12 【20年わが社の戦略】 北陽電機・尾崎仁志社長 オンリーワン商品の創出に注力
尾崎 社長
北陽電機(大阪市西区)は4月8日に創立75周年を迎える。主力のレーザー式測域センサー(LiDAR)が工場内無人搬送台車(AGV)、鉄道のホームドアの居残り検知、産業用ロボット、自律走行ロボット、ドローンなどで採用が進み、業績を押し上げている。中期5カ年経営計画の最終年度となる20年度を18年度の過去最高売上高の108億円に再チャレンジする尾崎仁志社長に経営戦略などを聞いた。
―創立75周年を迎えられますね。
尾崎社長 オートメーションという言葉がまだ一般に普及する以前から自動制御を手がけ、顧客ニーズに応じていろいろな産業分野に役立つオンリーワンの商品を創出してきた。23年前に37歳で社長を引き継いでからもセンシング、コントロールをキーワードに、オンリーワン商品づくりに取り組み、市場も工場から身近なところにどんどん広がっている。
19年度から進めている100周年に向けた土台づくりを20年度加速する。まず生産効率を上げるため、大きな投資をして基幹情報システムを入れ替える。20年度中にシステム構築を終え、運用を始める予定だ。
―100年企業になるためには何が必要ですか。
尾崎社長 LiDARを核に、事業の幅をどう広げていくかが大事だ。18年度はLiDAR、データ伝送用部品の生産に追われたが、19年度は100周年に向けた土台づくりに時間を使えている。
LiDARが屋外での有効なセンサーであることは間違いなく、当面は自動車を除くLiDARの屋外市場開拓がメーンになっていくと思う。雨や霧でもかなりセンシングできるようになってきた。LiDARを使った屋外のコントロールやセンシングに注力していく。センシングは駅のホーム用に採用する鉄道会社が増えてきた。ロボットの進化に伴い、ロボットの需要も拡大するとみている。
―楽しみですね。
尾崎社長 現在、売上高の60%がLiDAR、データ伝送用部品が25-30%だ。この2商品で売上げの80-90%を占めている。LiDARは創立65周年の11年に建設した豊中事業所(大阪府豊中市)で月産能力3000個体制を敷いて需要増に備えたが、既に月産5000個から6000個になっている。売上高が108億円と初めて100億円を超えた18年度は需給状況が非常にタイトになり、外部に生産委託して当社で品質検査を行い、供給に努めた。
豊中事業所は半自動化を進める一方、ペーパーレス化にも取り組み、月産8千個を目指している。75周年に向けて結果を出すため着々と土台づくりを行っている。
―新商品の取り組みはいかがですか。
尾崎社長 LiDAR、データ伝送用部品に続く第3の柱づくりは不可欠だ。基本は光関連製品をやっていく。数年前から自前だけでなく、ほかの技術と組み合わせていろいろチャレンジしているが一気にはいかない。業界で新しい製品が次々に出てきているが、数を売る会社ではないので、他社と違うもの、ほかにないものを作ってお客さまの課題を解決していきたい。
職人技が必要で技術継承、生産設備の維持管理が難しいため、75周年を機に電子カウンタを3月で、電磁カウンタ、回転式カウンタを9月で受注受け付けを終了する一方で、第3の柱となる新商品を早く上市し、次の成長エンジンにしていきたい。