2023.06.03 SBD内蔵のSiC-MOSFET新技術  三菱電機、サージ電流の仕組み解明で

チップの構造

 電力損失を大幅に低減できるSiCパワー半導体への期待が高まっている。

 三菱電機は鉄道車両・直流送電など大型産業機器向けで、SBD内蔵のSiC-MOSFET新技術を発表した。鉄道車両用推進制御装置などの小型化や省エネルギー化、直流送電の普及促進などを通じてカーボンニュートラルに貢献する。

 3.3kVフルSiCパワーモジュール「FMF800DC-66BEW」で実現した。

 SBD内蔵のSiC-MOSFETは、両者を別チップにした従来技術と比べ、パワーモジュールに搭載するチップを高密度に実装でき、モジュールの小型化や大容量化が可能。スイッチング損失の低減が図れることから、機器の小型化、省エネルギー化が求められる鉄道車両・直流送電などの大型産業機器への普及が期待できる。

 ただ、サージ電流が課題だったが、サージ電流が特定のチップへ集中するメカニズムを世界で初めて解明。全てのチップが一斉に通電を開始して、サージ電流が各チップ内全域に分散する新チップ構造を開発した。

(5日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)