2020.02.13 【ICT展望2020】JBCCホールディングス・東上征司社長

東上社長

 ―19年度のビジネスはいかがですか。

 東上社長 20年度を最終とする中期経営計画「トランスフォーム2020」を推進しており、クラウド、ニューSI、JBソフトウエア、セキュリティ、ヘルスケア、3Dプリンタ、人財育成サービスを成長7事業と位置付け、「WILD7」と命名して注力してきた。

 19年度はWILD7に加えてウインドウズ7などのサポート終了に伴う更新需要なども追い風となり事業は好調で、大幅な増収増益で推移。4-12月期も過去最高益となり通期業績見通しを売上げ、各利益とも上方修正した。特にクラウド、ニューSI、セキュリティが順調に伸びている。

 ―主力のクラウド事業が好調ですね。

 東上社長 アマゾンのAWSなどに監視運用を付けた独自サービス「俺のクラウド」が順調に拡大し、約1300社、5万ユーザーにサービスを提供するまでになった。

 パートナー連携も進め、俺のクラウドを基盤にサービスを組み合わせた「俺のクラウド倶楽部」は30社以上と協業し、メニューをそろえている。

 ―SIも順調に立ち上がってきました。

 東上社長 独自の手法で取り組むニューSIは、超高速開発ツール「ジェネクサス」などを活用して体系化した開発手法「JBCCアジャイル開発」が好評だ。既にジェネクサスを活用した案件は170社を超えた。加えて、クラウド利用を前提としたクラウドネイティブの開発も60社の実績がある。

 ジェネクサスの適用範囲も広がり、基幹システム再構築の案件など小規模から大規模まで幅広い。現在約20プロジェクトが動いており、20年度には案件実績が200を超えるだろう。JBCCアジャイルを活用すればシステム開発を柔軟に進められる。変更要求にも対応しやすく、経営陣は事業環境などに応じて開発スピードを自在にコントロールできると見ている。

 ―セキュリティ事業はいかがですか。

 東上社長 複数のクラウドを組み合わせて構築・運用するマルチクラウドの環境が広がる中で、セキュリティの確保が課題になってきた。当社はSOC(セキュリティ・オペレーション・センター)を持ち、セキュリティを総合的に支援できるサービス「オプティセキュア」を展開している。クラウドとセキュリティを組み合わせたサービスが強みで引き合いも多く、今後さらに増えるだろう。

中計の計画前倒し達成

 ―20年の戦略は。

 東上社長 全体収益は19年度に中計の計画を前倒しで達成できる見通しだ。20年度はWILD7の計画を確実に達成していく。同時に21年度以降の次期中計の検討も始める。クラウド、ニューSI、セキュリティでは各領域を組み合わせて提供する案件も増えてきた。次期中計はこれらを融合した計画にするとともに、クラウドとセキュリティの分野で技術力トップを目指していく。

 ニューSIでは、より柔軟な開発とサービス展開を実現するため、コンテナ技術を取り入れたいと考えている。ヘルスケア領域は、電子カルテを中心とした展開から病院全体のデジタル化やセキュリティ支援に取り組むことで拡大を図る。

 ―デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)への対応は。

 東上社長 デジタル化の流れが進む中、新たなソリューション開発も課題になる。昨年、社内に「未来ラボ」を新設して議論を進めているほか、人財確保も重要だ。人財の流動化も進むため、人事も柔軟に対応するとともに、新しいことにチャレンジできる会社を目指す。AI(人工知能)などに関しては使いこなせる人財を増やしていきたい。