2023.06.07 電子部品メーカー業績 23年度は一時的な踊り場、減益予想企業が6割超に
超小型DC-DCコンバーター
電子部品メーカーの業績拡大が一時的な踊り場を迎えている。出そろった主要電子部品メーカー40社の23年度(24年3月期)連結業績予想は、売上高は6割近い企業が増収を計画するが、営業損益は6割以上の企業が、経常損益は7割以上の企業がそれぞれ減益見通しとしている。
電子部品各社の業績は、20年前半のコロナ禍による落ち込みを経て、20年後半以降、回復に転じ、21年度から22年度前半にかけて非常に好調に推移した。
この結果、各社の22年度連結業績は、年度後半には停滞したものの、通期では多くの企業が増収増益を確保し、過去最高の売り上げや経常利益を計上した企業も少なくない。22年春以降の急速な円安進行も、輸出比率の多い日本の主要電子部品メーカーには追い風となった。
部品の用途別では、22年度はノートPCやタブレット、中華系スマートフォンなどの民生機器向けの需要が低迷したが、自動車や産業機器向けの需要は比較的堅調に推移。自動車向けは、世界的な半導体不足が自動車メーカーの新車生産に影響を与えたが、ADAS/自動運転技術の高度化や電動化の進展が、付加価値の高い車載用部品需要をけん引した。
一方、今期4月以降の電子部品市場は、自動車関連は比較的堅調だが、民生機器向けを中心に、低調だった22年度第4四半期(23年1~3月)の流れが継続している。産機・設備関連の部品需要も直近は在庫調整局面が続いている。
それでも、部品需要は22年度4Qから23年度1Qを底に、2Q以降は民生系も含めて緩やかな回復が予想されている。特に自動車関連は、半導体不足が解消に向かうことで、下期に向けて挽回生産が期待されている。部品各社の23年度の業績予想も、下期に向けての尻上がりの回復が予想されている。
今年度通期の連結業績予想は、会計基準変更の村田製作所と業績予想非開示の双葉電子工業を除く38社中、売上高は約58%にあたる22社が増収を計画。営業利益は約63%の24社が減益を予想、経常利益は約71%の27社が減益予想としている。
23年度の電子部品市場を取り巻く環境には、原材料価格の高止まりや欧米の高インフレによる消費市場への影響、中国経済低迷の長期化、地政学リスクの高まり、不安定な為替動向など様々な不確定要素があり、これらが部品各社の慎重な新年度の業績見通しに反映もされている。それでも、各社の中長期での電子部品需要拡大への見方に変化はなく、今期も先々を見据えた積極的な投資計画を立てている(記事詳細は、電波新聞6月8日付紙面で掲載)。