2020.02.14 キヤノン プロの要望に応える「EOSー1D X Mark Ⅲ」、総合的に究極の最高性能
椎名さん(左)と新製品を持つ正村さん
オリンピックイヤーには、世界の撮像機器市場でトップシェアを誇る日本のカメラ産業から、報道などのプロ写真家が使う光学式ファインダのトップエンドカメラ最新モデル2台が発売される。その1台、キヤノンの「EOS-1D X Mark Ⅲ」の企画を担当した、同社イメージコミュニケーション事業本部ICB事業統括部門の椎名麻衣子氏と正村友也氏に、製品の開発意図や特徴、発表後の反響を聞いた。
―「EOS-1D X Mark Ⅲ」の開発意図と目標は。
椎名氏 光学ファインダカメラの前モデル「EOS-1D X Mark Ⅱ」の後継機として、静止画、動画性能ともに究極を目指して企画した。スポーツやモーターイベントなど動きの激しい被写体、動物など動きが読めない被写体を撮影するプロフォトグラファが、厳しい環境下でも意のままに撮影できることを重要視し、機能の進化と、総合的に今の時代が求める最高性能も目指した。
―特に注力したことはありますか。
椎名氏 高画質、高速化、動画性能、信頼性など、全ての面で進化させたカメラに仕上がっている。プロを取り巻く環境は技術の進化とともに激しく変化している。進化の出発点は世界各国のプロユーザーからの要望と提案。これらを踏まえて、プロの意図する被写体撮影をさえぎらない性能と、機能を持たせることができたと私たちは自負している。
―進化点は。
椎名氏 AF性能、ネットワーク性能、画質に注力した。プロは特に高感度性能を求めている。新開発のフルサイズCMOSセンサーと、新映像処理エンジンの「DIGIC X」を開発。高感度性能と、ノイズリダクション性能を大幅に向上させることができた。
―ペンタプリズムとミラーを使った光学式ファインダにプロがこだわる理由は。
椎名氏 プロカメラマンは、カメラの信頼性を重視している。光学式ファインダの遅延のない映像により、シャッタチャンスを逃さない点と、電池が長持ちすることも重視されている。
正村氏 新開発のAFセンサーと、AFアルゴリズムによるAF性能の向上は、センサー部分の画素をより細かくして、最大191点の測距点からの高い合焦精度を実現し、高い追尾性を備えた「AIサーボAF IV」も搭載した。スポーツ撮影では選手の頭を合焦点として追尾可能。追尾しながら光学ファインダ撮影で最高約16コマ/秒、ライブビューで約20コマ/秒の高速連写を実現。RAW/RAW+JPEGで1000枚以上の連写ができる。新ミラー駆動システムも搭載した。
―背面操作パネルも操作しやすそう。
正村氏 前モデルと同じように操作や設定ができるようにしている。ボタンにバックライト機能を追加したり、指を離さずAF測距点位置を変更できる「スマートコントローラ」機能なども追加している。
椎名氏 「一瞬でも早く写真を転送したい」というプロの要望に、通信機能も大幅に強化。試用していただいたプロ写真家からは高い評価をいただいている。