2023.06.22 部材不足解消、円安プラス影響で市場規模拡大 5G基地局は低迷、22年度の通信機械生産・輸出入概況

 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)は、2022年度通期の通信機械生産・輸出入の概況をまとめた。半導体不足の影響による部材不足が解消し、事業所向け電話などのビジネス機器が回復。ネットワーク機器の国内需要が好調な上に、円安のプラス効果で輸出も伸びた。一方で高速通信規格5G基地局やミリ波対応基地局の設備投資は進まず、低迷が続いている。

 22年度の国内市場規模は前年度比13.1%増の3兆7033億円。部材調達難による供給制約が解消し、複数の電話機を制御するボタン電話装置や構内用交換機、事業所用コードレスなど端末機器は同15.0%増、ネットワークインフラ増強に向け有線網が回復しネットワーク関連機器は9.2%増となった。

 一方、国内生産動向は同1.0%減の4847億円と2年連続で減少。機種別では、官庁や通信事業者向けのネットワークインフラ投資が膨らみネットワーク接続機器は同23.1%増、有線端末機器も12.0%増と回復傾向が顕著だったものの、5G専用の独立ネットワークを構築する5Gスタンドアローン(SA)の基地局やミリ波対応の基地局への設備投資が進まず、無線ネットワーク関連機器は同17.6%減少。スマートフォンは、物価高や部材高騰を転嫁した端末値上げなどから買い替えサイクルが長期化しており移動体端末機器も同4.1%減となった。

 CIAJ市場調査部の中井誠治部長は、京セラ、FCNTのスマホ撤退を踏まえ「23年度も国内の移動体端末機器生産はさらに落ち込む」と分析。日本市場ではiPhoneの席巻が続きそうだ。

 (23日付の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)