JSRは26日、国が出資する産業革新投資機構(JIC)による買収を受け入れると正式発表した。JICは9千億円超を投じ、TOBを実施。JSRは上場廃止になるとみられる。

　米中対立など地政学リスクが顕在化する中、各国・地域で半導体や関連分野の生産や技術の囲い込み競争が進む。日本が強みとする材料分野での勝ち残りをめざす同社と、経済安保を強化したい政府側の狙いが一致したもようだ。

　1957年に、合成ゴムの国産化をめざして官民出資で作られた国策会社「日本合成ゴム」を前身とする同社だが、近年、先端材料やヘルスケアに特化する再編を進めていた。

　同社は26日、TOB発表の中で「競争優位性を維持・拡大する研究開発・設備投資にとどまらず、国内に有望なメーカーが多数ある半導体材料業界で、より大胆に業界再編を志向する」と展望した。

　(27日の電波新聞／電波新聞デジタルで詳報します)