2023.07.14 【電子部品技術総合特集】電子部品メーカー各社、国内投資が活発化
今年4月に完工した、アルプスアルパイン仙台開発センター(古川)のR&D新棟
次世代技術を見据え研究開発拠点開設など加速
電子部品メーカー各社の国内投資が活発化している。電子部品に対する技術要求高度化への対応や、次世代の技術トレンドを見据えたイノベーション、新規事業創出などを図っていくため、国内での新たな研究開発拠点開設や試験・評価設備の増強などの動きが加速している。
同時に、国内での新たな製造拠点開設の動きも活発化。各社は、グローバル生産能力増強を進める中で、国内での再投資を進めることで、サプライチェーンの強靭化(きょうじんか)を図り、高付加価値製品の安定供給を目指す。
国内研究開発体制再構築では、これまで分散化していた開発拠点を集約した大型の研究開発拠点の新設やソフトウエア開発に特化した拠点を新設するなどの動きが進んでいる。
国内研究開発拠点をオープンイノベーションの促進に積極活用する動きも活発化。研究開発施設内に、社用専用エリアに加えて「共用スペース」などを設置し、社内外の多くの人々が出合い、活発に交流、触発、協力しながら新たな価値を生み出すための取り組みなどが進められている。
顧客やアカデミア、スタートアップなどの社外パートナーとの協創空間を設けることで、他社とのコラボレーションを通じた新領域の開拓や技術のブレークスルーなどが志向される。
主電子部品メーカー各社は、新規領域を切り開いていくため、以前からの電子部品にとどまらず、部品周辺技術やアプリケーション側を含む技術の蓄積に力を注いでいる。さらに、「モノ売り」から「コト売り」へのシフトに向けた新たな事業モデル構築への動きも加速している。
このため、各社が採用する技術系人材も従来の電子部品技術者に加えて、AI関連やIT技術者、半導体技術者、ソフトウエア・システム技術者など多様化が進んでいる。さまざまな技術を有する技術者を採用・育成することで、今後の10年、20年を見据えたイノベーションへの対応が志向されている。