2023.07.27 【半導体/エレクトロニクス商社特集】フェローテックホールディングス CVD-SiC生産を強化 パワーデバイス、重点5分野に力

賀 社長

 フェローテックホールディングスは、半導体・自動車市場を中心にグローバルに展開する部品メーカーだ。

 半導体製造装置関連事業では、半導体製造装置向けの治具・消耗材に使用されるマテリアル製品(石英、シリコン、セラミックス、CVD-SiC)、真空シール・金属加工、部品洗浄サービスなどを展開。電子デバイス事業では、磁性流体、サーミスター、サーモモジュール、パワー半導体用基板などを手掛けている。

 昨年初めに生産拠点の分散化の方針を打ち出し、生産の日本回帰方針も発表した。

 賀賢漢代表取締役社長兼グループCEOは「製造戦略の考え方は、従来のように中国のみに集中せず、多様化させる。これにより、リスク分散とともに、人材も集めやすくなる」と話す。

 日本では、岡山工場のCVD-SiC生産強化のほか、石川では第2工場が2022年11月に竣工(しゅんこう)、第3工場の建設も決めた。ファインセラミックスの増産を進める。首都圏では、金属加工のための新拠点も検討する。

 熊本新工場(熊本県大津町)建設にも着工し、24年6月の竣工を予定している。「熊本では、まず装置部品洗浄事業と石英製品の二つの事業を立ち上げる」(賀社長)。

 海外では、マレーシア工場が今年10月に竣工予定で、セラミックスや石英、金属加工、ロボット組み立てなどを行う。

 開発力の強化も図る。中国には三つの研究所があり、約300人の開発人員が在籍するが、「日本でも今後3年ぐらいをかけ、開発人員を100人程度の体制にしたい。最も重要なのは人材。それが当社の将来の成長につながる」(賀社長)。

 22年度は大幅な増収増益となり過去最高を更新した。23年度もパワーデバイス(パワー半導体用基板)や石英るつぼなどがけん引し、増収を確保する見込みだ。

 パワーデバイスは重点5分野に①EV②グリーンエナジー③鉄道関連④データセンター⑤医療機器を掲げる。現在は中国3工場で生産しているが、新たにマレーシア南部に新工場を開設することを決めた。石英るつぼはグリーンエナジー関連のビジネスが活況となっている。