2023.07.28 【この一冊】「この父ありて娘たちの歳月」梯久美子

 「苦海浄土 わが水俣病」の作家・石牟礼道子、「倚りかからず」の詩人・茨木のり子など9人の「書く女性」のライフヒストリーと表現の根源を、父や家族との関係を通して見つめた。

 著者の梯は、映画化もされた「散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するなど、丹念な資料収集と関係者への取材で史実を積み上げていく手法に定評がある。「女性がものを書くとはどういうことか」に長く関心を抱いてきた梯による、「父の...  (つづく)