2023.07.31 「イノベーションボックス税制」具体化へ 経産省の研究会が試案 半導体やEVなど後押しか
特許など知的財産が生み出す企業の所得に優遇税率を適用する「イノベーションボックス税制」が、具体化しそうだ。経済産業省の研究会が31日、試案をまとめ発表した。
欧州など各国で、研究開発拠点の立地を呼び込む競争の一環としても、こうした税制が広がっており、競争力維持のため必要性が指摘されてきた。今後、具体的な制度設計に向けて、対象範囲や税率、分野などが議論される見込み。半導体や電気自動車(EV)なども想定されている。
試案では制度の対象として、特許権などで、国内で自らが研究開発したものを想定することなどを提起。実務が複雑になりすぎないよう、対象になる所得を第三者などが事前に確認する制度や、中小企業には簡便な措置として負担を軽減することも盛り込んでいる。
研究会は「インプットに着目したインセンティブである研究開発税制に加えて、アウトプットに着目した(イノベーションボックス)税制を速やかに導入することを提言する」としており、年末の税制改正での導入が見込まれる。
政府は「新しい資本主義」で知財など無形資産重視を打ち出しており、その一環ともなりそうだ。イノベーションの対価を使って、さらなる研究開発投資し、さらにその果実ができるといった「イノベーション循環」をめざす。
(8月1日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)